ナナメ上の発想。掃除機に空気清浄機をつけた三菱電機の先見性

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手軽に使えるスティッククリーナーは、その用途の特徴性から「出しっぱなし」のことが多いですよね。だからこそデザインに着目し、さらに使わない時間はなんと「空気清浄機」として機能を発揮するという三菱電機の「INSTICK」が注目を集めています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、掃除機に新たな革命を起こした同社の戦略・戦術を徹底分析しています。

使っていない時間に着目

空気清浄機能を搭載した掃除機で注目を浴びている企業を分析します。

三菱電機(電機メーカー) 

今回は三菱電機の1台4役の掃除機「iNSTICK(インスティック)」にフォーカスをあてます。

戦略ショートストーリー

手軽に掃除をしたい方をターゲットに、使いたいときにすぐ使える「1台4役」という特徴に加えて、「スタミナ長持ち&急速充電デザイン」などの強みで差別化しています。

1台4役という多機能とリビングに置いておけるデザイン、コストパフォーマンスの高さで好評を得ています。

分析のポイント

使っていない時間に着目

掃除機は、しまってありますか? それとも出しっぱなしですか?

我が家はスティッククリーナーですが、出しっぱなしです。出しっぱなしだから、すぐに使えるわけですが、実際に使っている時間は一週間累計で20分程度でしょうか。つまり、ほとんどの時間は使われていない置物のような存在ということです。

であれば、置物としてデザインは良い方がいいでしょう。「iNSTICK(インスティック)」がデザインに力を入れているのも納得ですね。そして、「iNSTICK(インスティック)」は掃除機として使われていない大半の時間(置物の時間)を空気清浄機として使えますので、無駄なく働いてくれる掃除機といえます。

何が言いたいかというと、今回の「iNSTICK(インスティック)」は多機能とデザインだけでなく、常に稼働できる働き者ということがポイントということです。

例えば、4万円の掃除機が二つあって、一つは1日10分しか使わない掃除機(掃除機のみの機能)、もう一つは、1日10分は掃除機として、それ以外の時間は空気清浄機として使える掃除機であれば、コストパフォーマンスの観点で見た場合、後者の方が選ばれる確率は高くなりそうです。

なぜなら、1年間使用するとしたら、1日10分しか使わない掃除機の年間稼働時間は、3,650分(=約61時間)、一方で1日24時間稼働する掃除機(&空気清浄機)は年間で8,760時間となりますので、稼働時間に圧倒的に差が生じます

61時間稼働して4万円と8,760時間稼働して4万円では両者を比較した場合、後者が選ばれやすくなるでしょう。

もちろん、掃除機としてのゴミを吸い取るという機能にある程度の水準があることが前提になります。ですから、「iNSTICK(インスティック)」は独自の「風神サイクロンテクノロジー」によって、掃除機としての機能を十分に満たしたうえで、空気清浄機能を付加しているわけです。

上記のように掃除機として使っていない時間に着目したことは、すばらしいと思います。

日本の家電メーカーは全般的に海外メーカーに押され気味ですが、今後のiNSTICK(インスティック)に期待したいです。iNSTICK(インスティック)をきっかけにして、使っていない時間に何かができる家電が出てくるとおもしろいですね。

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