独走セブンイレブンを倒せ。もしも中島聡がコンビニ経営者だったら

7-Eleven store
 

Windows95の設計に携わり、「右クリック」の開発や「ダブルクリック」「ドラッグ&ドロップ」などの概念を現在の形にしたことでも知られる世界的プログラマーの中島聡さん。自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』に、読者から「もしも中島さんがセブンに対抗するコンビニの社長だったら何をするか?」という質問が寄せられました。自身も米シアトルで起業した中島さんは、どのような構想やアイデアを明かしたのでしょうか?

もしも中島聡氏が日本のコンビニ経営者になったら

今週は、こんな質問がありました。

コンビニ業界ではセブンイレブンが圧倒的な存在感を示しており、業績も他社の追随を許していません。私も同じ距離に看板の違うコンビニがあったら、よっぽどのことがない限り基本的にはセブンイレブンに行きます。

圧倒的に商品力があるし、基本的に、いつお店に行っても品揃えが充実していて、その安心感からか、自然と足を運んでしまいます。ただし、セブンイレブンは鈴木さんが引退したこともあるし、他社にとってはチャンスかなとも思います。

もしも、ローソンやファミリーマートの社長になることになった場合、どんなことをされますか?どんな改革を実行しますか?

中島さんの回答

とても面白い質問です。私がローソンやファミリーマートの経営者であれば、まず最初に考えるのは、アマゾンとの提携だと思います。米国では、アマゾンの成長により小売業が窮地に立たされていますが、アマゾンにも悩みの種はいろいろとあり、一番の問題は、「ラストマイル」と呼ばれる、顧客に対する配送コストの問題です。

アマゾンは、このコストを下げるためにいろいろな工夫をしていますが、結局は、地域ごとに異なる社会インフラや生活スタイルに合わせたパートナーを見つけるしかない、というのが現状です。

今の日本の社会を見ると、一人暮らしの人や共働きの夫婦が増えた結果、日中の宅配が困難になり、かつ、宅配業務のような肉体労働を嫌う若者が増えているという現状があります。このままオンラインショッピングの数だけが増えても、「ラストマイル問題」をなんとかしない限りは、プライムメンバーに対する無料配送を維持することはとても難しいと思います。

その意味では、コンビニを宅配の代わりにラストマイルとして活用できれば、アマゾン・消費者・コンビニの三者にメリットをもたらすことになります。特に冷蔵保存が必要な生鮮食料品の配送に関しては、アマゾンも悩んでおり(Whole Foods の買収の一番の理由はそこにあると私は見ています)、コンビニの冷蔵庫が大いに役に立ちます。

「アマゾンで購入した食材をコンビニに配達してもらい、料理する直前に受け取りに行く」というライフスタイルを可能にすれば、文字通り、コンビニを冷蔵庫の代用品」にすることすら可能です。

もちろん、大量の商品の受け取りをさばくにはコンビニ側もそれなりの設備投資をする必要もあるし、今とは少し異なるビジネスモデルを考えなければいけないのかも知れませんが、本気でセブンイレブンに対抗するつもりであれば、これはとても良い機会だと思います。

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