無印良品、利益の半分が海外に。なぜMUJIは世界でバカ売れするのか

 

無印良品にとって日本の世界旗艦店は非常に重要な存在です。成長が著しい中国市場など海外の店舗に大きな影響を及ぼすからです。

それでは、日本の世界旗艦店は海外の店舗にどのような影響を与えるのでしょうか。

無印良品では、海外展開の際は日本の最先端のフォーマットを持ち込むようにしています。例えば、上海の世界旗艦店には、有楽町店などで提案してきた「MUJI BOOKS」などを持ち込みました。「MUJI BOOKS」とは、書籍や雑誌を衣・食・住などのテーマで選書し、無印良品の商品と融合させて売り場を展開するというものです。衣料品売り場にはファッションに関する本や雑誌を置いたり、食品売り場にはレシピ本を置いたりします。商品は全世界で統一しています。

このように、日本の世界旗艦店はフォーマットの発信基地となります。商品開発の面では、消費者の反応や売れ行きを確認する場となります。ただ単に商品を販売するだけの場ではないのです。

ちなみに、海外では無印良品の広告宣伝はほとんど行わないといいます。商品の品質やデザインが良くて合理的な価格であれば世界のどこででも売れると考えているからです。広告の代わりに、現地の著名人やアーティストなど発信力がある人の口コミで無印良品を広めています。そのため、無印良品としてのブランド力と世界観が重要となります。

現在、無印良品は海外で急速に拡大しています。17年5月末時点の海外店舗数は408店で、国内の422店に迫っている状況です。18年2月期中には海外店舗数が国内店舗数を抜く見通しです。海外の店舗数は順調に伸びています。しかし、最初から順調だったわけではありません

91年7月にロンドンで海外初となる「MUJI」の1号店がオープンしました。同年11月には香港でも店舗をオープンしています。しかし、香港を中心とするアジア地域では無印良品の世界観を十分に伝えることができず、98年に全面撤退を余儀なくされています(01年に再上陸)。ヨーロッパではコスト抑制に目を向けなかったこともあり、03年2月期まで営業赤字が続いていた状況でした。

海外では現地パートナー企業に任せっきりだったといいます。そのため、無印良品の世界観を正しく体現することができず、そのことが失敗につながりました。海外での失敗を通じて、無印良品の世界観を正しく伝えることの重要性を学んだといいます。その後は無印良品の世界観を正しく伝えることに努めたため、業績は上向いていきました。

無印良品の世界観を伝えるために重要な役割を果たしているのが前述した「世界旗艦店」です。日本の最先端のフォーマットや商品を世界に持っていく戦略をとっていることもあって、銀座にできる世界旗艦店の重要性は非常に高いと言えます。成長著しい中国市場での展開にも大きな影響を与えることでしょう。

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