あなたは待てる親?待てない親?待てる親だけが子どもを伸ばせる
子どもの生きる力を育くむ「親力」を教えるメルマガ『親力で決まる子供の将来』の著者、親野智可等さんは、「待てる親だけが子どもを伸ばせる」と、事例を紹介しながら現代の親が子どもに介入しすぎることに警鐘を鳴らしています。
●いちいちうるさいお母さん
夏休み前半におこなわれた、ある子ども木工教室での光景です。
そこでは、ロケット、ロボット、自動車、船、家、城などの木工用キットが用意されていました。子どもたちは、その中から自分が好きなものを選んでボンドや釘などで組み立てます。自分でできる子なら親は近くで見守ります。ひとりでは難しい子は親子で一緒に作ります。
2年生くらいの男の子が自動車と家のどちらにしようかと迷っていました。両方のセットを見て「う~ん、う~ん」と言いながら考えています。それを見ていたお母さんが、「早く決めなさいよ。何をぐずぐずしてるの?」と言いました。
それで、男の子が家の方を持とうとしました。すると、すかさずお母さんが「あんた家を作るの? 女の子ばっかりだよ、家を作ってるのは。見てご覧」と言いました。
たしかに、家や城を選んだのは女の子に多いようでした。それで、その男の子は家のセットをおいて自動車のセットを手に持ちました。
●口を出し続けるお母さん
男の子が自動車を作り始めてからもお母さんは黙っていません。
「そうじゃないでしょ。はじめに平らな板をおかなきゃダメでしょ」
「それはそこじゃないでしょ。何やってるの? もっとよく考えて」
「部品を全部並べてから始めないから、そうなるのよ」
「ほらほら、左手でしっかり押さえてないからずれちゃうんだよ」
「自動車なんか選んで、タイヤのところが難しいってわからなかったの。ロボットの方がよかったでしょ」
「ボンドが多すぎる。それじゃあベトベトしちゃうでしょ。塗る前にちょっと減らさなきゃダメでしょ」
「もっとがんばらないといいのが作れないよ」
同じことをしていませんか?
当然のことながら、男の子はだんだん元気がなくなってきました。何かする前に必ずお母さんの方をちらちら見るようになりました。「これでいい? 間違ってない?」という感じです。
見かねたスタッフが「お母さん、ちょっとこちらで見守っていましょうか」と言って、お母さんを少し離れたテーブルに連れて行きました。お母さんは、「ああ、そうですね。私うるさすぎですよね。いけない、いけない」と言いながらスタッフについていきました。
このお母さんは、自分の言葉のまずさがある程度はわかっているようです。でも、なかなかブレーキがかからないようです。たぶん日ごろからこうなのでしょう。
みなさんはいかがですか?いろいろな状況で、このお母さんと同じようなことをしてはいないでしょうか?
「いいのを作る」ことより大切なことがある
お母さんは、「もっとがんばらないといいのが作れないよ」と言っていました。でも、本当は「いいのを作る」ことより大切なことがあります。それは、子ども自身が楽しみながら、あれこれと試行錯誤しながら、自分の力で作ることです。
これで初めて子どもは達成感を味わいますし、自信もつきます。このお母さんのようにいちいち口を出していたら、子どもは楽しくもないし、試行錯誤することもできません。たとえ「いいのができた」としても子どもはうれしくないでしょうし、自信もつきません。こういうことが続くと、常に親の顔色を伺うようになります。何事においても自分で決めて動けない指示待ち人間になってしまいます。
待てる親でありたい
子どもは何事においても時間がかかります。大人のように効率的にできません。試行錯誤しながら、失敗したりつまずいたりしながら、自らの力で進んでいくことが大事なのです。
ですから、親は待つことが大事ですね。待てる親であってください。待てない親は子どもの伸びる芽を摘んでしまいます。