年金請求時に体を悪くしてた場合、年金を大きく増やせる事がある

 

ちなみに、この女性には厚生年金期間が20年以上(240ヶ月以上)あるし、65歳未満の生計維持している配偶者がいると更にオマケで平成29年9月分から配偶者加給年金389,800円月額32,483円)が付く事があります。

年金でいう生計維持とは(参考記事)

普通は自分が65歳にならないと配偶者加給年金は付かないですが、障害者特例で定額部分を発生させるとその時点で配偶者加給年金を付ける事ができます。配偶者加給年金が付くのであれば、老齢厚生年金958,138円+配偶者加給年金389,800円=1,347,938円月額112,328円)になります。以下、配偶者加給年金も付くものとして話を進めます。

というわけで障害者特例を使うと65歳前の老齢厚生年金が倍くらい増える事があるので、どこか体が不自由な面がある場合は年金を貰う時には頭に入れておくべき内容であります。請求月の翌月からしか増額しないから。

なお、今回は障害年金の受給権者の障害者特例請求ではなかったですが、障害年金の受給権者(障害年金を貰えてる人の事)であれば障害者特例による老齢厚生年金の増額は請求月の翌月からではなく、障害年金の受給権者になった時まで遡って障害者特例が適用されます。ただし、この遡りの法改正があった平成26年4月までしか遡らない(支給される年金は平成26年5月分以降から)。

ついでに65歳以降の年金総額を算出してみます。65歳以降は定額部分487,500円は老齢基礎年金に移行する為消滅し、国民年金から老齢基礎年金の支給が始まる。

※ 老齢基礎年金→779,300円(平成29年度満額)÷480ヶ月×(国民年金保険料納付済期間145ヶ月+20歳から60歳までの間の厚生年金期間300ヶ月)=722,476円

ただし、定額部分から老齢基礎年金に移行する時の差額(経過的加算)を算出。

※ 経過的加算(差額加算ともいう)→定額部分1,625円×300ヶ月-老齢基礎年金満額779,300円÷480ヶ月×300ヶ月(昭和36年4月以降の20歳から60歳までの厚生年金期間)=487,500円-487,063円=437円

よって65歳以降の年金総額は、老齢厚生年金(報酬比例部分470,638円+経過的加算437円)+老齢基礎年金722,476円+配偶者加給年金389,800円=1,583,351円月額131,945円)。

※追記

老齢厚生年金の支給開始年齢が61~64歳の人の場合はその年齢に到達しないと定額部分の付いた年金は支給されません。つまり報酬比例の年金が支給されないと増額しないわけです。

また、障害者特例の老齢厚生年金を貰っている間に新たに再就職などで厚生年金に加入した場合は定額部分や配偶者加給年金は全額停止になるので注意。

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

print
いま読まれてます

  • 年金請求時に体を悪くしてた場合、年金を大きく増やせる事がある
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け