年金請求時に体を悪くしてた場合、年金を大きく増やせる事がある

 

まずこの女性は65歳になるまでは300ヶ月分(69ヶ月+231ヶ月)の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を貰う事になる。ちなみに、老齢厚生年金の計算の際は平成15年3月以前と4月以降で分ける。4月以降は賞与も年金額に反映するようになったから。

そして、平成15年3月までの厚生年金期間は153ヶ月(69ヶ月+84ヶ月)。この153ヶ月の間の平均給与(平均標準報酬月額)は210,000円だったとします。

次に平成15年4月から平成27年6月までの147ヶ月の厚生年金期間の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の平均額(平均標準報酬額という)を300,000円とします。

年金計算で超重要な標準報酬月額とか標準賞与額って何?(参考記事)

※ 60歳から65歳まで支給される老齢厚生年金(報酬比例部分)。

(210,000円÷1,000×7.125×153ヶ月+300,000円÷1,000×5.481×147ヶ月)= 228,926円+241,712円 = 470,638円月額39,219円)。

でも、この女性は平成28年10月26日に心臓ペースメーカー(障害等級は3級相当)を装着されてるので、老齢厚生年金の障害者特例として請求すると請求月の翌月から老齢厚生年金を大きく増やす事ができる(障害等級が3級以上の人ならできる。ちなみに障害手帳の等級とは関係無く、障害年金の等級基準で見る)。

来月9月から老齢厚生年金を増額させたいなら、8月31日までに請求する必要があります。

ただし、請求日以前1ヶ月以内の障害状態(現症)を記載してもらった診断書が必要。診断書は病院独自のものではなく、もちろん年金機構備え付けの年金用の診断書に医師に記載してもらう。

また、初診日から1年6ヶ月が経ってる必要があります。この女性は初診日が平成28年5月19日だから平成29年11月19日以降(この日を障害認定日という)にならないと本来は請求できないですが、平成28年10月26日に心臓ペースメーカーを装着してるので1年6ヶ月経たなくても特例的に平成28年10月26日に既に満たしている事になる。

このように障害状態によっては1年6ヶ月待つ必要がないものがあります。例えば腕や脚を切断したらそれ以上の治癒が期待できないから、1年6ヶ月様子見る意味が無いので切断した日を障害認定日にしたりする。

なお、障害年金請求はキチンとした初診日を特定する必要がありますが、今回の老齢厚生年金の障害者特例はとりあえず請求までに初診日から1年6ヶ月経ってればいい(今回は1年6ヶ月前で満たしましたが)。

まあ一応それらが揃ってるものとして、8月31日までに請求が間に合ったものします。となると、平成29年9月分の老齢厚生年金から定額部分という年金がオマケで付いてくる。

※ 定額部分→1,625円(平成29年度定額単価)×300ヶ月=487,500円

よって、平成29年9月分から老齢厚生年金(報酬比例部分470,638円+定額部分487,500円)となり、老齢厚生年金総額は958,138円月額79,844円)となる。

平成29年9月分から年金が発生するから初回支払いは10月13日(初回支払いは概ね3ヶ月はかかるので11月15日以降にズレる)に9月の1ヶ月分79,844円のみが振込み。後は偶数月に前2ヶ月分の159,688円79,844円×2ヶ月)の振込み。

障害者特例が無くて報酬比例部分(月額39,219円)のみの支給だと前2ヶ月分で78,438円のみでしたが、障害者特例で81,250円増額して偶数月に支払われる年金が159,688円になりました。

print
いま読まれてます

  • 年金請求時に体を悪くしてた場合、年金を大きく増やせる事がある
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け