日米よ思い知れ。北朝鮮が「グアム攻撃」に隠した3つのメッセージ

 

そこで今回の北朝鮮側のメッセージですが、ポイントとなるのは「8月中旬までに計画」と「火星12」、それに「グアム沖40キロ」という3点です。

まず第1点ですが、公表しようと秘密裏に行おうと計画するのは自由です。計画し、ミサイル発射を準備することによって、米国との対話の道が開かれないものでもありません。

とにかく、このような強硬姿勢は北朝鮮に一貫しているもので、「米国の圧力に屈したのではなく、北朝鮮の強い姿勢によって米国が折り合わざるを得なくなった結果としての対話への動き」を演出する必要があるのです。

第2点の「火星12」ですが、こちらは中距離弾道ミサイルで、米国がレッドラインに設定していると北朝鮮が思っている核実験ならびに大陸間弾道ミサイルの発射に抵触しません。軍事攻撃を受ける理由になりにくいのです。

さらに第3点のグアム沖30~40キロという海域は、米国がグアムに配備しているTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の射程圏内(射程200キロ、射高150キロ)です。その前にはイージス艦に配備されたSM-3(射程1000キロ、射高500キロ)というハードルがあります。

その海域をわざわざ選ぶということは、単にミサイルの命中精度の向上をアピールするにとどまらず、米国側にたたき落とされることもひとつの前提としているわけで、米国にSM-3やTHAADを発射させたのは北朝鮮が米国と対等の立場になった証明、とアピールするでしょう。

予告通り40キロ圏ぎりぎりに着弾し、米国が迎撃しなかった場合でも、米国は手も足も出なかった、と勝ち誇ったメッセージを出すでしょう。

コース直下になる日本の県の名前(愛媛県を除く)を挙げたのは、日本国民の恐怖心を煽るという威嚇効果と同時に、人工衛星打ち上げ時の国際ルールに準じてコースを公表し、日本、そして米国に対して敵対的なミサイル発射ではないことを伝える意図が含まれていると考えてよいと思います。これは事故などで落下物が生じた場合への言い訳にもなるわけで、巧妙な計算です。

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