「自衛隊が憲法違反だ」とする主張は憲法違反
政府見解はそうだとしても、ほとんどの憲法学者は「憲法9条は『戦力は持てない』としているのだから、自衛隊は憲法違反だ」と考えている。彼らは問い詰めるであろう、「政府見解がほとんどの憲法学者よりも正しい、とする根拠はどこにあるのか」と。この異議に対する田村氏のカウンターパンチは単純明快である。
憲法81条は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と述べている。政府見解が正しいか、大方の憲法学者が正しいのかを、最終的に決定するのは最高裁判所である。
そして、前述の砂川判決が最高裁が下した唯一のものである以上、「自衛隊が憲法違反だ」とする主張そのものが憲法違反なのである。
もし憲法学者が心底から「自衛隊が憲法違反だ」と考えたら、その後の論理展開は以下の3通りになる。
- 武力をいっさい認めない憲法では国民の「平和のうちに生存する権利」を守れないから、自衛隊を合憲とするよう憲法を改正すべきである。
- 憲法の命ずる通り、武力はいっさい持つべきではない。したがって他国に侵略された場合は、それを甘受し、どれほど国民が虐殺、略奪されても仕方がない。
- 憲法の命ずる通り、武力はいっさい持つべきではない。日本さえ他国を侵略しなければ戦争は起こらないから、平和も人権も保てる。
一般社会の常識から考えたら、2.も3.もあり得ないだろう。それなら、1.を主張すべきだが、憲法学者が改憲を主張している姿はあまり見たことがない。要は、憲法学者の多くは、法学の世界に閉じこもっていて、そこから先を考えてないのである。
彼らの中には狂信者や確信犯や利得者もいるだろうが、いずれにせよ、3割の抵抗蜂であることは確かである。我々、働き蜂の一般国民は国防の基本的常識を学び、彼らの言説に惑わされないようにしなければならない。
文責:伊勢雅臣