こうして考えると、特徴がない居酒屋は今後淘汰されていくのではないでしょうか。焼き鳥が主力の「鳥貴族」や海鮮の「磯丸水産」、串カツの「串カツ田中」といった専門性が高い居酒屋は好調ですが、特徴がない総合居酒屋は衰退の一途をたどっています。
ワタミは不振の総合居酒屋「和民」などを、焼き鳥が主力の「三代目鳥メロ」やから揚げの「ミライザカ」に業態転換しています。16年度において83店を転換しましたが、売上高は前年比で26.8%増加したといいます。やはり、特徴があって専門性が高い居酒屋ではないと生き残ることが難しいことを示しているといえそうです。
立ち飲み形式の居酒屋も有望です。「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングスは立ち飲み居酒屋「晩杯屋」を運営する企業を買収すると発表しました。晩杯屋の成長性を買ってのことでしょう。串カツ田中も立ち飲み業態店を出店し始めています。
晩杯屋の1号店が誕生したのは09年です。買収発表時(7月27日時点)の店舗数は31店とそれほど多くはありませんが、早期に国内500店の展開を目指すといいます。
立ち食い形式の「俺のイタリアン」や「いきなり!ステーキ」が好調なこともあり、居酒屋版として成長が見込めると判断した面がありそうです。
晩杯屋はフードが100~200円程度と低価格のため、一人でも気軽に飲むことができます。気軽さという点では「俺のイタリアン」などよりもはるかに上のため、差別化されているといえるでしょう。特徴がある居酒屋といえそうです。
居酒屋業界は市場が成熟しているため、価格競争に陥りがちです。そうしたなか、改正酒税法の影響で値上げの判断を迫られている状況です。鳥貴族は値上げの断行を表明しましたが、それは特徴があって高い競争力を持っているからこそといえます。特徴がなく競争力がないところは値上げが客離れに直結してしまうでしょう。業界各社は難しい判断を迫られているといえそうです。
店舗経営コンサルタントの視線で企業を鋭く分析!
毎日更新されるブログはこちら
佐藤昌司のブログ「商売ショーバイ」