【サルでも分かる】アベノミクス後の世界。大好評の藤沢数希のQ&Aコーナーを公開

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藤沢数希の身もフタもない人生相談

アベノミクスからどう資産を守るかについての質問が多く寄
せられたので、人生相談コーナーでこの話題も議論します。

 ─インフレで借金を吹き飛ばしても財政赤字はそのままじゃないのですか?

インフレ税の質問をした者です。

月給30万の労働者が、借金100万を返す例は理解できる人も多いと思うんです。そうではなくて、なぜ100万の借金が出来てしまったのか?30万の給料で60万の生活をしていたからだと思うのです。

とすると100倍のインフレで給料が3000万になっても、支出も6000万になってしまい、やはり借金は増え続けるのではないかと思うのです。

そこのところを、教えてもらえませんか?

─藤沢数希の回答

月給30万円の人が、60万円の生活ができたのは、その人に信用があって30万円貸してくれる人がいたからです。

いまの日本も、超低金利でお金を貸してくれる人がいくらでもいるので、もっともっと借金できます。

日本国債は大人気の金融商品です。

しかし、政府がインフレにして借金を踏み倒したら、もう、簡単にお金を貸してくれる人はいなくなるので、強制的に、財政赤字は維持できなくなります。

─金利が上がり国の借金が急激に増加するとなぜインフレになるのでしょうか

いつも面白いメルマガをありがとうございます。

「日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門」
http://goo.gl/0xv1Q

に下記のように書かれています。

「財政赤字も臨界点に達すると、(中略)信用がなくなっているから金利もどんどん上がっていくので、借金が指数関数的に発散してしまいます。こうなると中央銀行は自国通貨をコントロールできなくなるので、おそろしいインフレになるでしょう」

金利が上がり、国の借金が急激に増加すると、なぜインフレになるのでしょう。

インフレになる仕組みについてご教示ください。

迷えるエンジニア

─藤沢数希の回答

金利が上がると、新規国債の発行で、利払いが大変になります。

そうすると、金利の支払いのために、ますます赤字国債を発行しなくてはいけなくなりま
す。

借金をして、借金の金利を払うことになるわけです。

赤字国債を無分別に発行しているのが、そもそも金利が上がる原因なので、金利の支払いのためにさらに国債を発行すれば、ますます金利が上がります。

こうなると中央銀行が金を刷って、国債を買い取るしかなくなりますが、そうすると通貨供給量が増えるので、ますます通貨の価値がなくなり、金利が上がり、もはや誰もその国の通貨を信用しなくなります。

こうしてハイパーインフレになり、財政破綻になります。

南米などではありふれた現象ですし、戦争の賠償金の支払いなどで、ドイツなどの先進国でも経験しています。

─インフレになると住宅ローンはどうなるのでしょうか

こんにちは。

最近のメルマガで、金融をテーマに分かりやすく説明していただき、ありがとうございます。

前回のメルマガ「 第139号日本国政府の借金は誰が返すのか」を拝読し、前から疑問に思っていたことがございましたので、質問させていただきます。
インフレになった場合、

「しかし、ここで100倍のインフレが起これば、月給も100倍になるとすると、この人は月に3000万円稼ぐことになります。しかし、借金は100万円のままです。1日分の賃金で返済できるので、実質的に借金がほとんど無くなったのといっしょです。逆に預金があったら、それの価値も無くなるのです。」

とのこと。

となると、住宅ローン等の借金をしている人は、インフレになった場合、借金の負担が劇的に減るということなのでしょうか?

私はインフレと同時に利息も上がり、借金の返済が途端に滞ってしまう人も出てくる人も
いると思います。このあたり、どのように考えればよろしいのでしょうか?ご教授ください。よろしくお願いします。

─藤沢数希の回答

固定金利と変動金利で違います。

固定金利では、インフレになると、ローン残高が実質的に圧縮され、金利も変わらないので、借金をして家などを買っていた人は、まるまる得します。

変動金利の場合は、金利の上がり方、ローン残高、または、繰り上げ返済できる能力があるのかどうか、などの諸条件により変わってきます。

これはエクセルで、自分の状況を当てはめて、しこしこ計算してみましょう。

インフレを予想しているなら、固定金利が有利です。

日本の財政破綻本がブームになったころに、35年固定金利で家を買うと、だいたい金利の
支払いが4%ぐらいでした。

しかし、その後、金利は地べたを這いつくばり続け、変動金利の住宅ローンは、補助金などを含めると実質ゼロ金利になっているので、固定金利で住宅ローンを借りた人は、大損したわけです。

これからは固定金利がいいのか、変動金利がいいのか。

それは誰にもわかりません。

というか、固定金利のプライシング自体が、今後の変動金利の動向を織り込んで決まるわけで、市場が効率的ならちょうどリスクが釣り合うところで固定金利が決まるわけですね。

効率的市場仮説
http://goo.gl/jmja0e

日本の財政破綻を予想しているなら、円が暴落すると考えていることになるので、外貨建て資産をたくさん買え、ということになります。

現状は、積極的に円資産を増やしたくないが、最近はかなり大幅に円安に振れているので、ここで外貨建て資産を買うのは、なんとなく高値づかみになりそうだな、という感じですね。

やはり市場は効率的です。

国際分散投資でいいんじゃないでしょうか。
http://goo.gl/jmja0e

 

●information
藤沢数希

理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で教鞭を取った後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスクマネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。主な著書:『なぜ投資のプロはサルに負けるのか』ほか。
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