●ケース2:子供が学校や塾に行きたくないと言う
子供が学校や塾に行くのを楽しみにしていて、毎日元気よく明るく通ってくれるのはありがたいことです。
でも、学校や塾でなんらかのトラブルを抱えていたり、子供ならではの人間関係で悩みがあったり、人に会いたくないという気持ちになったり、勉強についていけなくて大変だったり、体調がすぐれないために通うのがつらかったり・・・など、様々な事情を抱えることも少なくないでしょう。
子供だって、ストレスを抱えることはあるでしょうし、ストレスに対する免疫が大人よりもついていないのなら、ストレスの対処法が分からなくて苦しいこともあるでしょう。
そんな時に、親にあたってしまう可能性もあれば、信頼できる親に助けを求めてくる可能性もあるし、あるいは、親に相談できずに一人で抱え込む可能性もあります。
そうしたお子さんの変化を見逃さずに、手を差しのべて子供を支えられる親は素晴らしいと思います。
まずは、変化に気付いてあげることが第一ですよね。
そして、その後、お子さんと向き合って、どのようにするのがお子さんにとって最適なのか、相談にのってあげることも大事ですよね。
「学校や塾に行きたくない」と子供が言っているのに、親が「学校や塾に行きなさい!」と怒鳴りつけてしまうと、その場では、なかば強制的に行かせることができたとしても、根本的にお子さんの問題を解決したことにはならない、という可能性もあるのではないでしょうか。
そういうときは、リフレーミングをしてみましょう。「学校や塾に子供は行くもの、行かなくてはならないもの」という枠組みをいったん外してみることです。
学校や塾に行きたくないときだって、きっとある。
ときには、行かなくてもいいんじゃないかな、と子供に寄り添って一緒に考えてみる。
こんな話を実際に聞いたことがあります。
ある子供は、人に会いたくないから、という理由で、塾に行きたくないと言い出しました。
親がなんとか塾に行かせようとして、あれこれ説得しようとしても言うことを聞かない。
挙句の果てに、子供はガミガミ言ってくる親の所から、逃げ回るようになってしまった。
塾にいかなきゃいけない時間が近づいてくると、住んでいる家を飛び出して、家の近くを逃げ回った。
親がいくら追いかけても、追いかけても、子供の方が走るのが速くて、追いつくことができない。
逃げ回る子供の行方が分からなくなってしまうのも不安だし、こういうのはやめよう、と親は思ったそうです。
すると、子供はこんなことを言い出しました。
「勉強は、家でやる」
この場合は、勉強をすること自体が苦痛になったのではなく、授業に参加するという人と会う場所に行くのが嫌になった、ということなので、勉強に対する意欲は残っていたわけです。
ここで親にとって大事なことは、塾へ行きたくないというネガティブな面に注目するのではなく、家で勉強をしたいというポジティブな面をのばすことです。
家で勉強するという意欲が残っているのであれば、子供の気持ちを尊重して、子供を信じてあげること。
塾へ行きたくないときは行かなくていいよ、と親は子供をムリやり塾へ連れていくことを止めたら、子供は家を飛び出して逃げ回ることもなくなり、家で静かに自分のペースで勉強をするようになりました。
その結果、塾のテストを受けたら、なんとその子供が教室の生徒の中で1位をとったのだとか。
これには、塾の先生もびっくりですね。
時間をかけて、しだいに気持ちが回復していった子供は、しばらくして調子が戻ると、塾へ行きたいと言い出して、無事に受験を乗り切ることができたそうです。
子供に無理をさせすぎないこと、子供の気持ちを傷つけないように大切に尊重することで、お子さんを支えてあげられるといいですね。