「独裁政治の始まり」とも。安保国会最終盤を新聞各紙はどう伝えたか

 

予言者・安部晋三

【毎日】は1面記事「参院委きょうにも採決」「与党、週内成立図る」の左隣に社説「法案成立に強く反対する」を置く異例の編成。5面の政治面には3つの小政党が修正協議の上、法案に賛成する話。

uttiiの眼

1面の社説は激越だ。書き出しは「安部晋三首相は予言者になったつもりだろうか」。参院委で安倍氏が「成立し、時が経てゆく中において間違いなく理解は広がっていく」と述べたことを揶揄したのだ。提起された数々の異論に適切な反証ができていないのに、「いずれは分かる」と根拠なく言うのは、「国民を見くびる慢心の表れだ」と。

《毎日》は言及していないが、すぐに思い起こされるのは岸氏の発言だ。60年安保の時、安倍氏の祖父、岸信介氏は「声なき声を聴く」と言って火に油を注ぐ結果になった。今、岸氏の孫はそれ以上に不遜な態度で国会と国民を愚弄している。

この社説、全文引用したいくらいで、非常によく書けているように思える。日本の安保政策は「憲法9条と日米安保条約との強い緊張関係の下で成り立ってきた」のに、この法案が成立すれば9条の拘束力は極端に緩められてしまう。今国会で最も印象に残るのは礒崎補佐官の「法的安定性は関係ない」という発言。この言葉こそ、「法案の設計思想を如実に示している」という。この理解に共感する。

社説は後段で、「…国内に生じている亀裂を修復する展望を持ち合わせずに、時間が解決するのを夢想するのは許されない」と冒頭の論点に戻る。そして、「日本は今、戦後史の大きな分岐点にさしかかっている。自衛隊の創設や安保条約の改定に匹敵するかそれ以上だ。日本を傷付ける分岐になることを強く憂う」と締め括(くく)る。

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