「独裁政治の始まり」とも。安保国会最終盤を新聞各紙はどう伝えたか

 

不信任、問責が当然では?

【読売】はまず1面左肩の短い記事でこの問題を伝える。見出しは「安保法案きょう最終質疑」。その最後のブロックには、「国会関与の拡充など野党3党と大筋合意」の小見出しで、次世代の党など野党3党が法案に賛成することを記している。維新の党との修正協議は決裂したとも。

関連記事は2面に修正協議についての短い記事。そして4面の政治面。見出しは「与党『連休前』成立方針」。

uttiiの眼

政治面の関連記事には、縦書きの見出しで「野党連携 引き延ばし策」とある。問責や不信任の動きを《読売》流にまとめればこういうことになるのだろう。だが、憲法違反の法律案を無理矢理通そうとする行為は、衆院では不信任、参院では問責に値すると言われても仕方あるまい。

《読売》にとって、次世代の党ら3つの小政党が修正協議の末、法案に賛成することになったのは慶事の極みなのだろう。1面、2面、4面の3つの記事のすべてにこの旨の記述がある。ちょっとしつこいくらい。これで強行採決の印象を薄めることができると与党は喜んでいるようだ。少なくともメディアは「自公だけで採決強行」と伝えることができなくなる。反対運動も沈静化するだろうということか。

しかし、《読売》によれば、与党が反発を押し切って締めくくり質疑を決めたのは「法案成立が連休にずれ込むと、反対運動が勢いづきかねない」と警戒しているからだという。この種の議論は各紙ともどこかで書いてきた話で、自民党は、これまでの運動の規模を大きく超える反対運動が起こる可能性を考えているということなのだろう。確かに、連休に入ってしまえば、明るいうちから家族連れで抗議行動に参加する人たちも増えるだろう。

しかし、最大の抗議運動は、法案が通った後に起こる可能性が高く、まさしく連休中は強行採決に対する抗議の声がそれこそ津々浦々に響き渡ることになる。そのことは、《読売》が何をしようが、もはや止めようがあるまい。

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