「独裁政治の始まり」とも。安保国会最終盤を新聞各紙はどう伝えたか

 

フルスペック

【東京】はまず1面に「安保国会 論点進行表」を載せる。合憲性や集団的自衛権など5分野、10項目がまとめられている。この論点を検証すると、疑念や矛盾はいっそう強まる、とリードで前置きし、記事に入る。この記事の関連として、8面9面全部を使い、15週間に及ぶ国会の論点進行表が掲載されている。その他、2面に中央公聴会の詳報、3面解説記事「核心」は反対運動の盛り上がりについての分析、5面に社説「「民の声」に耳を傾けよ」、30面と31面の社会面には元裁判官75人による、法案を違憲とした意見書提出、国会前の昨日の動き、さらに、自ら残虐行為に手を染めた元戦犯の証言「間違って殺す それが戦争」の記事。

1面には公述人として発言するSEALDsの奥田愛基さんの写真があり、この奥田さんの全発言を6面に掲載している。他の5人については発言要旨のみ。

uttiiの眼

全くのフルスペック対応。読みこなすのに大変時間がかかるが、この日の朝刊を持ち歩き、検証用に使うこともできるだろう。論点の解説に紙面を割き、奥田愛基さんの発言をすべて載せ、社説もこのテーマで対応する。論点に関しては、ここ数日の間に《読売》を除く各紙は似たような企画を立てるかもしれないが、《東京》が一歩先んじたというところか。

正直、この1面の体裁に関して言うと、あまりよくはない。だが、本来1本1本審議しなければならないはずの安保関連法案を11本まとめて「議論」するなどという異常事態の中で、1面トップの1に「論点表」を置くという奇手に出ざるを得なかったものと推察。逆に、読み物としての価値が出たかもしれない。新聞としては明らかに異例だが、ニーズには合っている。

image by: Chris McGinley / Shutterstock.com

 

uttiiの電子版ウォッチ』2015/9/16号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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