1月7日に一年の無病息災を願って食べる七草粥は日本人にとって馴染み深い行事食で、7種すべてを言えないまでも「春の七草」を知らない人はいないでしょう。今回の無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では著者の須田將昭さんが、現代の日本人にはあまり知られていない「秋の七草」を、その由来とともに紹介しています。
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山上憶良 秋の花を詠める歌二首
秋の野に咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七草の花
萩の花 おばな葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝貌が花
(『万葉集』塙書房刊より)
ハイキングなどに出かけると、秋の野花があちこちに。そんな様子を山上憶良が詠んだのが冒頭に紹介した二つの歌です。特に二首目に列挙された草花が、古来「秋の七草」と呼ばれています。
- 萩 ハギ
- 尾花 ススキ
- 葛花 クズ
- なでしこ ナデシコ
- をみなへし オミナエシ
- 藤袴 フジバカマ
ここまではいいでしょう。ススキを「尾花」と呼ぶのには馴染みがないかもしれませんが。
最後の「朝貌」には諸説あります。そのまま読めば「アサガオ」ですが、さすがに季節に難があります。他にムクゲ、ヒルガオなどの説もありますが、一般には「キキョウ」とされています。
この秋の七草は、春の七草と違って「食べる」ものではありません。野花が咲き乱れる野を散策して、目で楽しみ、それをまた歌に詠んだりして楽しむ。そういう中で「これぞ」と山上憶良がとりあげたのがこの七つの野花で、いわば「鑑賞」と思ったらいいでしょう。
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