米中新冷戦時代を日本が生き残るために、インドの力が必要な理由

 

日本の大戦略

日本には今、敵が二国あります。一国はいうまでもなく、北朝鮮。もう一国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している中国です。中国に対処する方法、今までは簡単でした。日米安保がきっちりしていれば問題なかった。証拠もあります。

2010年9月の尖閣中国漁船衝突事件。中国は、世界に向けて「尖閣はわが国固有の領土であり、核心的利益である!」と宣言します。そして、レアアース禁輸など日本に過酷な制裁を課した。しかし、オバマさん、クリントン国務長官、ゲーツ国防長官などが、「尖閣は日米安保の適用範囲である!」と宣言したことで大人しくなった。

2012年9月の尖閣国有化の時もそうでした。中国は、尖閣に軍事侵攻することも考えていたのです。しかし、アメリカがどう動くか、まず知らなければならない。そこで、習近平(当時国家副主席)が2012年9月19日、パネッタ国防長官に会い、「尖閣問題にアメリカは干渉するな!」と脅迫した。ところがパネッタさん、「尖閣は日米安保の適用範囲。軍事衝突になればアメリカも出ざるを得ない」と断言。これで、中国は引っ込んだのです。

というわけで、日米安保は、現状はっきり機能しています。いろいろなことを言う人がいますが、事実機能しているのです。

しかし、アメリカが年々衰退しているのも事実。私が05年の本『ボロボロになった覇権国家』の中で、「アメリカは没落する」と書いたら、RPEの読者さん以外、誰も本気にしませんでした。しかし、2017年の今、「アメリカにかつての強さはない」こと誰でも知っています。だから、「日米安保も将来どうなっていくのかわからない

そこで、日本がアメリカと並んで重視しなければならないのが、インドです。インドのGDPは2016年、2兆2,564億ドルで、世界7位。しかし、一人当たりGDPは同年1,723ドルで、世界144位という低さ。この国は、どう見ても「成長期前期」にいる。10年すると、おそらく日本のGDPを軽く超えていることでしょう。そして、アメリカ中国に並ぶ大国になることは間違いない。

そこで日本は、世界最大の民主主義国家で親日国インドとの関係をますます強化していきます。過去と現在のアメリカ。未来のインド。この二国は、日本にとって最重要国家なのです。

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