年金を前倒しで受給するのは損なのか?「16年8ヶ月」の分かれ道

 

1.昭和31年11月5日生まれの男性(今は61歳)

何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)

この男性は60歳で定年退職したが、週3回アルバイトをしながら厚生年金には加入せずに労働(月額約10万円)。

この男性の生年月日だと、本来62歳からの年金支給開始となる。ただし、65歳になるまでは老齢厚生年金(報酬に比例する部分のみ)。

厚生年金支給開始年齢スケジュール(日本年金機構)

62歳(平成30年11月4日受給権発生)からの老齢厚生年金(報酬に比例する部分のみ)90万円支給予定。ちなみに厚生年金期間は20年以上あるものとします。

※注意

11月5日生まれですが、年齢が到達するのは前日だから11月4日となる。年金で言う年齢到達日はすべて誕生日の前日を指します。

65歳からは国民年金から老齢基礎年金71万円支給予定(平成33年11月4日受給権発生)。

※参考

60歳になる時と65歳になる時がパッとわかりにくいと思いますが、一瞬でわかる方法はこれ

この男性は昭和31年生まれですよね。昭和31年から3年マイナスして平成に直すと、平成28年がこの男性の60歳到達年。この男性は実際62歳から年金貰う人なので、平成28年に2年足して平成30年。65歳は昭和31年に2プラスして平成に直すと平成33年が65歳到達年となる。

やり方はリンクを貼ってる年齢の出し方の記事に書いていますので読んでみてください。年金はある意味生年月日との戦いなので年齢の出し方の記事はまず読んでいて欲しいです。1分読んでもらえればわかってもらえるはず…!

話を戻しますが、本来は62歳から65歳までは老齢厚生年金90万円(月額75,000円のみ)で、65歳からの年金総額は老齢基礎年金71万円も加わり161万円(月額134,166円)になる。

しかし、今のアルバイト収入だけでは生活が苦しくて年金の繰上げを請求して今から早速年金を貰う事にした。繰上げ請求は今月ではなく、とりあえず平成29年12月にやるものとします。

すると、どうなるのか。

老齢厚生年金は本来62歳時の平成30年11月から発生しますが、この時点より11ヶ月早く貰う事になります(請求月の平成29年12月から受給権発生月の前月である平成30年10月までの期間)。

老齢基礎年金は平成33年11月より47ヶ月早く貰う(請求月の平成29年12月から老齢基礎年金の受給権が発生する前月の平成33年10月までの期間)。年金の繰上げをやる場合は、老齢厚生年金だけでなく老齢基礎年金も同時に繰上げなければならない。

まず、1ヶ月早く貰うごとに0.5%の年金減額になります。だから、老齢厚生年金だったら11ヶ月×0.5%=5.5%減額。老齢基礎年金なら47ヶ月×0.5%=23.5%減額。よって、

  • 老齢厚生年金額は90万円×(100-5.5)%=850,500円
  • 老齢基礎年金額は71万円×(100-23.5)%=543,150円

年金の繰上げによる年金総額は老齢厚生年金850,500円+543,150円=1,393,650円月額116,137円)。本来の年金総額161万円より216,350円の減額になってしまった。繰上げ請求を平成29年12月にやってるので、翌月の平成30年1月分から月額116,137円の年金が発生する。この減額された金額が一生続く繰上げ請求したら取り消しは不可

この男性の年金額が今後増えるとすれば、70歳までは厚生年金加入可能だから新たに厚生年金に加入するか、もしくはこの男性は厚生年金期間が20年以上あるから65歳時点で65歳未満の生計維持している配偶者(妻)がいれば配偶者加給年金389,800円(平成29年度価額)が加算されて年金額が増額する場合がある。

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