メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、現役の警察官であるTさんへのインタビューで「自転車の取り締まり」に関する裏話を暴露する当シリーズ。今回は前回から続く、解決に3年かかったという「チャリテロ」裁判で浮き彫りになった、日本の道路交通法の理不尽さについて。現役警官Tさんが匿名であることを良いことに告発する、日本の警察の問題点とは?
軽車両の自転車はどこまで車両や歩行者と共存できるのか? その17
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(前回までのあらすじ)現役警察官のTさんが実際に関わったという、ワゴン車と自転車の接触事故。車道を走っていた自転車が、主要幹線道路に停車していた自動車を避けて走行車線へはみ出した瞬間、ワゴン車と接触。どう考えても目視で後方確認せずに飛び出した自転車に過失がある事故と思われたが、自転車側は「停車していた車にも原因がある」と、停車中の車に罪をなすりつける始末。この「チャリテロ」に納得の行かないワゴン車の運転手は、自ら「人身事故」として捨て身の覚悟で裁判へ持ち込む。危険な自転車乗りを反省させるために始まった裁判は、終わるまでに3年もの月日を要することに。悪質なチャリテロ裁判の行方は……。
Tさん:例えばクルマ同士が交差点で片方が一時停止無視して飛び出してしまい、優先道路を走っていたクルマと接触したとします。その場合はクルマとクルマなので飛び出してきたクルマ側に大きな過失が生じます。これがクルマ対自転車の場合はどんなに自転車側が一時停止無視して飛び出しても弱者救済措置が働き、優先道路走っていたクルマに過失が7割被されてしまうんです。私はこのような交差点での事故を散々取り扱ってきましたが、いつも心の中では「クルマの方が気の毒」「自転車は当たり屋と一緒だよな」って思いながら事故処理に務めていました。
一時停止無視で飛び出して接触事故を起こす自転車側の過失が3割って……本当にどうかしていると思うんです。絶対間違っていると思います。もっと全国の警察署から現場の声としてお上へ届きまくれば少しは変わるような気がするんですね。
自転車に運転免許制度を今から施すのには超えなくてはいけない壁が沢山あって現実的ではありません。日本を変えようと思う警察官がもっと増えてくれれば、そして現場からの声を大にして届けられるようになると変えられる……私はそう思い続けています。
道路交通法を改正して自転車に対し厳しくなったとか言われていますけど、事故処理を担当していた私から言わせてもらえば「あんたらがもっと安全運転に務めれば発生しない事故ばっかあるんだよ!」と魂の叫び、いや、遠吠えをしたくなる時もありますね(苦笑)。スマートフォンいじりながらの自転車操縦している人が多すぎます。イヤホン付けて自転車乗る人は昔から多いですが、イヤホン+スマートフォン操作な最悪すぎる自転車乗りだけは絶対私も許しません。
吉田:感動しました。警察官という職に就いているんでしたらTさんみたいに自転車の事故に対して理不尽な処理させられているんだよなぁと思うほうが普通ですよね。で、裁判まで発展して、3年間戦った結果……過失割合は最終的にどうなったんですか?