日本の広辞苑が「台湾は中国の一部」に改定。日台の絆に深い傷

 

つい最近まで台湾で懸念されていたのは、先の党大会で全権掌握した習近平が蔡英文政権に一つの中国に合意しろと期限付きで迫るのではないかということ、そしてアジア歴訪のトランプ大統領に対して中国が、「北朝鮮のことは中国に任せておけ、そのかわりアメリカは台湾から手を引け」という交換条件を出してくるのではないか、ということでした。

しかし、その二つの懸念は、少なくとも表面的には起こることがなく、不安はとりあえず解消されました。台湾では、台湾の国際関係はこれからもっと安定期に入るという共通認識があります。とはいえ油断はできません。

中華人民共和国の建国からすでに70年が経とうとしています。中国は台湾が欲しいということで、経済から外交に至るまで、伝統的な「三光作戦」(すべてを潰す)を続けています。

中国が台湾に対して行ってきた「核兵器を使用する」といった脅し、いわゆる「文攻武嚇」や、「武力行使は絶対に放棄しない」という恫喝は、統計によればこれまで千数百回に及びます。

しかし今日まで中国が「武力行使」をしなかったのは、日米欧の干渉を気にしていたことと、万が一にも台湾を取れなかった場合、中国共産党政権が潰れる可能性があったからです。だから「外交」の「三光作戦」によって、台湾を国際組織から追放し、台湾と国交を持つ国々には断交を迫り、日本の進歩的文化人や政治家、マスメディアなどに「台湾は中国の一部という踏み絵を踏ませているのです。

それは岩波のみならず、あらゆるメディアに手を延ばし、教科書にまで圧力をかけています。最近は、こうしたことに台湾人も我慢ができなくなり、台湾のネット世代である「天然独」(生まれながらの独立派)などは日本の出版社などに抗議しています。日本の文化人やジャーナリストに対しても「日本人は『純と誠』の美徳に戻れ、ウソを言わないでくれ」と訴えています。

台湾からすると、日本の進歩的文化人は「言論の自由」を盾に、中国の主張に沿った言論を言いたい放題しているという印象なのです。日本はとくに、親中の進歩的文化人がマスコミの論調を左右する傾向があるため、人々はそれに乗せられてしまう傾向があります。

ただ、10年前までは、多くの日本人が台湾は中国だと思っていたかもしれませんが、今では少なくとも、台湾社会と中国社会の違いを知る人が多くなっています。そして、台湾と中国の関係に興味を持つ人も増えてきています。この関心こそが重要なのです。

草の根の相互交流が促進されることで、相互関心も高まります。台湾旅行を楽しんだ日本人観光客の多くが、台湾と中国の関係に関心を抱くようになれば、マスコミが垂れ流す情報を鵜呑みにするだけでなく、様々な視点からの情報を集めて自分なりに考え答えを出すことにつながるでしょう。それにより、マスコミが創り上げた虚像が壊され、真実に近づいていくのです。

今回のまとめ
・ 日本の岩波書店が発行する『広辞苑』の台湾の項が改定されたことが物議に
・ 「中国と台湾は一つ」という表記に変えられ、台湾では抗議の声が挙がる
・ 黄氏曰く、「日本の一部マスコミが作り上げた虚像はいずれ壊される」

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image by: r.nagy / Shutterstock.com

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実』(2017年11月29日号)より一部抜粋

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