いつの時代にもなくならないいじめ。その根本原因はどこにあるのでしょうか。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、いじめを苦に自殺したある少年の作文を冒頭に引き現代のいじめの原因を分析するとともに、来年度より小中学校で順次導入される「道徳科」への期待を記しています。
いじめの空気
「いじめの原因は空気だ。解決するには、みんなが親友になること。笑顔の大切さを忘れずにいたい」
3年前にある中学3年生男子は、そう作文に残している。その後彼はいじめを苦に自らの命を絶った。いじめられても笑顔でいじめを乗り越えようとしていた少年のことを思うと胸が痛む。
自分が積極的にしたいわけではなくても、そうせざるをえない雰囲気。それがいじめの空気だ。そして積極的にその空気を作り出す子供もいる。不平不満を抱える子供たちだ。そんな子供は「○○ってウザいよね」といじめのスタートを切る。そう言われると、多くの子供は「あ、そうだよね」と同調してしまう。仮に「私は、そうは思わないけど」と返したなら、今度はその子自身が「ウザいよね」と言われる対象になりかねない。これはある意味では、「いじめる」か「いじめられるか」の選択の踏み絵を踏むということかもしれない。
いじめの空気の根底には、自分がされるかもしれないという不安がある。昔のいじめは、されやすい子供がいた。現代のいじめは全ての子供がターゲットになる。誰しもが「自分もいじめられるかも」という不安を抱えながら過ごす。その不安定な人間関係は、いじめのターゲットを設定することで安定する。誰もがいじめられたくないと思いながらも、いじめを止められない。それがいじめの空気だ。そしていじめる側の罪の意識も驚くほど希薄なものとなってしまう。
自分は違うと思っても、同意せざるをえない雰囲気。これを同調圧力と呼ぶことがある。