東大タレントが教える、新大学入試制度に重要な「3つの力」とは

 

1、時代に見合った対応力

入試というのは、学校がほしい人材を獲得するための関門です。

どんな人材がほしいかは、それぞれの学校のカラーにもよりますが、時代とともに変わっていくのではないでしょうか。

ものすごくシンプルな例え方をすると、機械やコンピューターが発達していない時代なら、まるでロボットのように正確かつ迅速に処理する人材がいれば、いろんな作業をする上では大変ありがたいわけです。

そういう時代なら、正確な情報処理能力を問うような問題を出して、情報処理能力の高い人材を選べばいい。

具体的には、制限時間内にとにかく多くの簡単な問題数を出して、回答数と得点率を競うようなイメージです。

知識があれば解けるような1対1対応のシンプルな問題でもいいから、ぱっと知識を引き出して、さっと早押しして正解できるような、そんな素早い頭の回転力をもった人材が重宝されるのではないでしょうか。

そういう人は、正確さと迅速さが求められる単純作業に向いていますよね。

ところが、時代が進化し、機械やコンピューターが普及するようになると、それまで人間がやっていたことは、かわりに機械がやってくれるようになる。そうなると、求められる人材も変わってくるわけです。

英語なら、英単語が発音できなくても、瞬時にコンピューターが発音してくれる。

国語なら、難解な用語でもコンピューターで検索すれば、瞬時に意味が出てくる。

数学なら、計算なんて電卓をたたけば、瞬時に計算結果が出てくる。

社会や理科だって、インターネット上で調べれば、たいていの知識はのっている。

知識を集積する、という人間がかつて必要としていたスキルは、簡単にコンピューターに抜かされてしまったといっても過言ではないでしょう。

そうなると、知識をいかに多く蓄えているかに価値が減ってきて、知識をいかに多様に活用できるかに価値が置かれるようになってくる。

100の使えない知識をもっている人よりも、5の使える知識をもっている人の方が生き残りやすくなるわけです。

例えば、英単語を1万語知っていても、1つ1つがバラバラの知識で、それを話すときに組み込めなければ、もったいないし意味がない。

それならコンピューターでもできるし、コンピューターの方が優れている。

それよりは、英語の熟語を100個くらいしか知らなくても、日常会話にいろんなシチュエーションで使える方が、価値が高いのでは。

少ない知識量でも、それをいかに組み合わせるか

一つの知識でも、それをいかに生活でいかせるか

そういったスキルが、今の時代では必要だと感じています。

単純作業ならば、おそらく機械は得意分野のはずだから、単純作業の仕事はどんどん機械にとってかわられるでしょう。

エレベーターにのる乗客の安全性を守るエレベーターガールは、今ではほとんどみかけなくなりました。

スーパーのレジは、最近はお客さんがセルフ清算できる所も増えて、以前よりも人件費もおさえられるし、効率的になってきました。

そのかわり、状況に応じて判断したり提案したりすることが必要な仕事、例えばコンサルティングなどの仕事も人気が出てきて、機械には真似できないスキルの価値が高まってきたように思います。

また、インターネットのデバイスを利用した仕事や、CGなど最新の技術を駆使したクリエーターなどの仕事も人気で、進化し続ける機械を道具にしながら新しいものを創造するスキルも、価値が高まってきているように感じます。

そして、グローバル化が進んで、外国との交流が増え、国境の垣根をこえて地球規模で技術や文化を共有する時代だから、英語を使って何かを発信したり生み出したりするスキルも重要ですよね。

このように、時代とともに価値基準は変わっていく。

その時代の流れをよみとって、時代の波にのりながら、その時に必要とされるものを身につけていれば強い。

受験とは、社会への入口であって、生き抜くための競争でもある。

受験は、進化し続ける時代を生き抜くための一歩でもある。

だから、サバイバル力がある人が勝ち残る。

使える知識をいかに持っているか、知識を組み合わせて新しい解決法をみつけられるか、社会に出て仕事にもいかせるような応用力があるか。

そうしたスキルが受験でも求められるようになってきたのではないでしょうか。

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