幼い兄の悲痛なSOS。探偵はいかにして被虐待児を救ったのか?

 

この機材手渡しの日から2日ほど前、阿部は奇妙な相談を受けた。時間と場所を確認し、いざ出向いてみると、待ち合わせの場所にいたのは、小学生の男の子であった。その後ろに立っているのは、母親のように見えたが、話を聞けば、彼の叔母であった。

回りくどい話から始まったが、簡単に言えば、彼の弟が母親の彼氏から暴力を受けているということだった。すでに多少の問題になっているということであったが、決定的な証拠はなくひどい怪我まではしないため保護されるまでには至らないということであり、そもそも、彼の母親は、子供達の言葉より、彼氏の話を常に信用して、全く取り合わないということであった。

阿部 「だから、証拠を撮りたいと?」

阿部の質問に、彼は深く頷いた

阿部 「事情はだいたい飲み込んだが、君の叔母さんに一応の契約者になってもらうよ。いいですか?」

叔母は困った顔をしつつも、「わかりました」と書類にサインをした。

叔母から補足の説明を受け、阿部はその対象者となる幼児の写真を数枚撮った。その中に、この男の子が常に持っているというおもちゃの鉄砲に目をつけた。このおもちゃの鉄砲は、兄である彼が他界した父親に買ってもらったもので、自分が学校に行っている間、持っていていいよと渡したものであった。すでに音が鳴らなくなり、弟は口で音真似をして遊んでいるそうだが、お風呂に入る時以外は常に持ち歩くそうだ。

母親の彼氏というのは、叔母も下の名前しか覚えはなく、この子らを迎えに行った時に、たまたま出くわした程度の関係だそうだ。年は20代後半くらい、働いている様子はなく子供の前でタバコをふかしていて、馴れ馴れしく話しかけてきたそうだ。

印象は悪く、この彼氏が来ると、彼は弟を連れて外に出ることが多いが、最近では、家に入り浸っていて、リビングやキッチンは占領されているということだった。幼児である弟がテレビを見ようとすると、頭を叩かれたりつねられて泣かされたりするということだった。

叔母の家は子供はいるが、受け入れてもいいと阿部に話した。

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