手記公開の翌朝、東京新聞が「電通系の会社が隠れ残業」という見出しの記事を報じました。
電通のグループ会社「電通アイソバー」で、電通が新入社員の過労自殺を受け労働環境改善に着手した昨年秋以降も、複数の社員が自宅に仕事を持ち帰り「隠れ残業」を繰り返していたことが分かったというのです。
記事によれば、午後十時以降の全館消灯など働き方改革を進めているが、業務量は減らないため隠れ残業は必須。管理職は把握していたにも関わらず残業代はいっさい払われていませんでした。
同社の社員からは
「会社は(まつりさんの死)を他人ごとと思っている様子だった」
「上司によるセクハラ行為も一向になくならなかった」
との指摘も上がっていたそうです。
今年の冒頭のメルマガ(1月4日号)の【2017年どーなるニッポン?!ー長時間労働はなくなるのか?「現場一流、経営三流」】で、私は次のように書きました。
どんなに「うちの会社は残業させないために、20時退社を義務づけています!」と企業のトップが豪語しようとも、“そもそもの問題”を、「経営者が自らの責務として」解決しない限り、長時間労働の削減は無理。
会社近くのファミレスに駆け込む社員は増え、休日にこっそり会社に忍び込んで仕事する人も増え、孤独な作業に疲弊し「なんのために生きているんだろう……」とむなしい思いにかられる人が増えることが予想されます。
繰り返します。長時間労働の“そもそも”の原因を、経営者が抜本的に変えない限り長時間労働はなくならないのです。
残念なことに「隠れ残業事件(あえて“事件”とします)」は、このときの指摘が当たってしまった。
まつりさんのお母さんは「成功体験」という言葉で表現していましたが、「長く働くことで成果を出す」のが成功だと考える経営者がいる限り、過労死や過労自殺は絶対になくなりません。