戦略決定
次は、「戦略決定」に関する理論を2つ。
ポートフォリオ分析
1960年代に米国のボストン・コンサルティンググループ(BCG)が、経営戦略、事業戦略を分析する手法として開発した理論です。「PPM分析」とも呼ばれます。
企業が多角化すると、どの事業分野に重点的に投資をすれば効果的か、見えにくくなってきます。そこで、BCGはその企業の事業分野を「市場の魅力度」と「市場の競争力」という2つの観点から、4つのボックスに分類することを提唱しました。それが、有名な「花形製品」「問題児」「金のなる木」「負け犬」です。この4つに分類したうえで、
- 現在の取り組みを維持する事業
- 投資を抑えて資金を回収する事業
- 育成する事業
- 撤退を考える事業
として最適な経営判断を行います。とてもシンプルですが、使い勝手の良い分析手法として活用されています。
コトラーの競争戦略
「近代マーケティングの父」であるフィリップ・コトラーは、企業がおかれている業界の地位に着目して、4つの競争戦略を提唱しました。その地位は、リーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーの4つに分かれます。
リーダーは、量的にも質的にも経営資源に優れている、市場で1位の企業。チャレンジャーは、業界2~4位の企業。ニッチャーは、質は高いが規模は大きくない企業で、フォロワーは、量も質も劣ります。
そして、リーダーがとるべきは「全方位戦略」で、非価格競争で市場を拡大していきます。チャレンジャーは、リーダーとの製品差別化をはかり、下位企業を打ち負かしつつリーダーの地位を奪う戦略です。ニッチャーは、他社がまねのできない分野で集中戦略をとり、特定市場におけるナンバーワンを目指します。フォロワーは、徹底的にリーダーの製品を模倣しながら、低価格戦略で市場での生き残りを図るのが良い、というのがコトラーの説です。