米国も指摘。総務省のせいで日本の携帯料金がおかしくなっている

ishikawa20180122
 

総務省により導入された、モバイル端末の購入補助規制。行き過ぎた「値引・割引」の是正や公正な競争の促進などが目的でしたが、蓋を開ければ現状は同省の思惑とは真逆の様相を呈しています。かねてから端末購入補助規制に対して否定的な意見を主張してきたケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、先日出席した通信政策に関するシンポジウムでの様子等を交えながら、当規制の欠陥や、同じく総務省検討会内で高まる「サブブランドやキャリア関連会社のMVNO潰し」という動きに関して批判的な見解を記しています。

米国シンクタンクが「端末購入補助規制は間違っている」と提言――5Gに向けて、消費者の購入意欲を奪う危険性を指摘

1月19日、アメリカのシンクタンクである「Progressive Policy Institute」が主催する公開シンポジウム「モバイル通信政策~イノベーション推進のインフラとして~」のパネルディスカッションに参加してきた。

冒頭、チーフ・エコノミック・ストラテジストのマイケル・マンデル氏による「生産性革命と日本の携帯電話市場における規制」というレポートが発表された。その内容が「日本における端末購入補助規制はよろしくない。まもなく導入される5Gに向けて、消費者の購入意欲を奪うことなる」というものだった。

個人的には「総務省のモバイル業界に向けた規制は間違っている。端末購入補助規制も見直すべきだ」という原稿を何本も書いてきたこともあり、マンデル氏の主張に背中を押された気持ちであった。

パネルディスカッションでは、総務省の総合通信基盤局電気通信事業部の料金サービス課長が隣に座っていたこともあり、普段、自分が抱いている総務省に対する意見を思いっきり主張してきたのだった。

端末購入補助規制が導入されたことで、何が起きたとかいえば、やはり端末代金は高い印象になり、気軽に新製品を買えなくなったように思う。端末に対する割引が減ったことで、一部キャリアは3年や4年と言った割賦販売を導入してきた。結果、ユーザーは長期間キャリアに縛られることになった。総務省としては競争を促進したかったはずが、キャリアがユーザーをさらに長年拘束する逆効果に働いている

総務省は、昨年12月から始まった検討会において、「中古端末の流通促進」を議題にしているが、そもそも新製品が売れなくなり、買替え需要が減っている中で、中古端末の流通が促進されるわけがない。新品が売れてはじめて中古品が出回るわけで、どうしてそんな簡単なことが総務省にはわからないのか。

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