諜報が正しくても政治が間違うケース
↑こういうケースもあるのですね。たとえば、KGBは、「ソ連を崩壊させる」というエリツィンの動きを正確につかんでいました。それで、ゴルバチョフに、「あいつは国賊です。つかまえましょう!」と進言していた。ところがゴルバチョフは、最後の最後まで決断できず、結局ソ連は崩壊してしまいます。
これ、日本人にとっては、「ゴルバチョフさんありがとう」かもしれません。しかし、ロシアの人たちにとっては、「なんとバカなことを!」です。
考えてみてください。ソ連の中心はロシア。ロシアは、実質他の14共和国を支配していた。ところがエリツィンは、実質ロシアであるソ連から、「ロシアを独立させた」のです。これって、「大日本帝国から日本が独立した」ようなもの。
ロシアは、東欧を失い、ソ連14共和国を失った。今、東欧や、旧ソ連のバルト3国は、「反ロシア軍事ブロック」NATOに入ってしまった。
繰り返しますが、ゴルバチョフの優柔不断、日本にとってはありがたかった。しかし、ロシアにとっては、大きな領土を失う結果になりました。これは、「諜報は正しい(?)が、政治が間違った」例。
アメリカ、イギリスの対中観
では、アメリカ、イギリスの諜報は、現在中国をどう見ているのでしょうか? 『China2049』を読めばわかりますが、非常に警戒しているはずです。
ところが、政治家は、どうしても反中になりきれません。トランプさんは、反中男として大統領になった。しかし、今は、「私は習近平が大好きだ!」と公言してはばからない。イギリスのメイ首相は、バリバリ反ロシアである。一方、中国に対する警戒感は、ほとんどないようです。
なぜ、こうなのでしょうか? 一つは、「チャイナ・マネー」が欲しい。もう一つは、中国のロビー力が世界一だということでしょう。