このジレンマを乗り切るには、自動車メーカーは、優秀で起業家精神に溢れるソフトウェア・エンジニアたちが働きたくなるような会社に変わらなければなりません。TeslaやUberのように顧客との直接的な接点を持たなければダメだし、ソフトウェアのアップデートも、そしてハードウェアのアップデートも、Teslaのようにもっと頻繁に、インクリメンタルにすべきなのです。
重要な顧客である、タクシー会社、運送会社、レンタカー会社との戦いを避けることが難しい事実も認識する必要があります。消費者に対して、移動手段や運搬手段をサービスとして提供する、ということは、彼らと対抗せざるを得ない、ということなのです。
そんな会社に生まれ変わるには、単にソフトウェアエンジニアを雇ってソフトウェアを書かせるだけでは不十分です。起業家精神に溢れるエンジニアたちを、新しいサービスビジネスの経営陣として向かい入れ、その事業の成功に直結したストックオプションなどの強いインセンティブを与え、彼らに新しいビジネスをゼロから立ち上げさせる必要があるのです。
下のグラフは、現時点での自動車メーカーの株価総額をドーナツグラフにしたものです。現時点では、ソフトウェアのことをちゃんと理解してビジネスをしているのはTeslaのみで、まだその比率は9%弱です。10年後には、このグラフは倍以上の大きさになり、その伸びは全てTeslaやUberのようなSoftware-drivenな企業が持っていくことになるのです。
自動車メーカーは、既存のビジネスをTeslaやUberによって破壊される前に、「TeslaやUberよりも一歩も二歩も先を行くビジネスを作り、自ら破壊する」ぐらいの気構えで戦わないと、携帯電話業界のMotorolaやNokiaのような存在になってしまうのです。
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