自動車業界に迫る変革が、2000年のコンピュータ業界に酷似してきた

 

2018年の自動車業界は、その頃のコンピュータ業界に色々な意味でとてもよく似ています。

既存の自動車ビジネスは、まだ莫大な利益を生み出してはいますが、EV化、自動運転、コネクティビティ、シェアリング・エコノミーなどの大きな変化が業界全体を襲いつつあります。

TeslaUberの2社は、それぞれ、EV化+自動運転+コネクティビティシェアリング・エコノミーの面で業界をリードしており、莫大な赤字を垂れ流しながらも、企業価値は既存の自動車メーカーと肩を並べるまでになっています。

トヨタ自動車がプリウスで実現したハイブリッド車は、通常のガソリン車と比べると地球に優しい自動車ですが、MicrosoftのInternet Explorerと同じく、ゼロ・エミッション車が普及するまでの、一時的な延命措置でしかありません。水素自動車は興味深いテクノロジーですが、インフラの充実までには時間がかかるため、今現在、急速に起こりつつEV化に対する答えではありません。

TeslaやUber が、Netscapeのように消えてしまうのか、AmazonやGoogleのような次世代を担う巨大な企業に成長するのかは分かりませんが、一つだけ明らかなのは、10年後20年後の自動車業界の勢力地図が、今とは大きく異なっているものだ、ということです。

ソフトウェアやコネクティビティはますます重要になり、自動車は持つものから必要に応じて借りるもの」に変わります。シェアリング・エコノミーは、自動車の稼働率を大幅に引き上げるし、駐車場を不要なものにします。主役を握るのは、「自動車を製造・販売する企業」ではなく、「移動手段や輸送手段をサービスとして提供する企業」に変わるのです。

既存の自動車メーカーは、これまでの「2年おきのモデルチェンジ」のような時代遅れの開発サイクルを続けていては、ソフトウェアのDNAを持つTeslaのような企業には対抗できません。自分たちは自動車の製造だけをし、顧客との接点はディーラーに任せるような体制では、刻々と変化する消費者のニーズに対応するサービスを提供することなど絶対に不可能なのです。

Elon MuskはTwitter経由でのユーザーからのフィードバックに耳を傾けており、新しい機能をリクエストされた数週間後にはそれをソフトウェア・アップデートを提供するなどの離れ業をやってのけますが、こんなことは、今のままの既存の自動車メーカーには、到底出来ることではありません。

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