米国の同盟国は大変なことになる。裏切られる予定の日本に起こること

 

1. 日本の番がくる

この取引成功で、次に日本の番である。4月中旬に安倍首相がトランプ大統領と首脳会談を行う。

安倍首相と友達であるから、トランプ大統領は、あまり強硬な要求をしないと評論する人がいるが、それは間違いである。トランプ大統領は、始めは様子見をしていて、相手の手の内を知ってから、自分に有利な取引を行う。

安倍首相が安全保障上の問題を重要視していることがわかり、経済問題とのバーターを言い出すに決まっている。今までの外交交渉とは、大きく違うことを念頭に入れるしかない。

交渉で米国の要求は、日米FTAの開始通貨安防止策として円ドル固定相場か、米国も実施する金利調整の金融量的緩和が許すと思うが、通貨安誘導の金融量的緩和政策の制限を言い出す可能性がある。

それと、日本企業の米国での生産を一段と推進することを求められる。その見返りが日米同盟の維持で、日本が日米FTAを固辞すると、日米同盟破棄を米国は言い出すことになる。米国は一切身を切らない一方的な要求になる。

トランプ大統領は、自分を支持する人の利益になり、支持者が喜ぶことを行うので、自分の好き嫌いで政策を行っていない。最初、喧嘩した対米貿易赤字国のオーストラリアは、鉄鋼・アルミ高関税の適用除外国にしている。

外交当局や防衛当局の連帯も、トランプ大統領は無視するから、この取引を日本は了承するしかない。トランプ政権の幹部が、全員ナショナリスト達であり、自由貿易という考え方も自由主義圏を守るという考え方もない。米国の鎖国化を進めると脅して、同盟国に経済的な要求を行うだけである。

同盟国に対して、軍事力と経済をバーターすることをトランプ政権は行うし、対抗する中国に対しては、対米貿易での黒字を失くして経済力を削ぐ方向になる。これが、アメリカ・ファーストの戦略である。

徐々に日本は、米国の代わりにインドやベトナムインドネシアなどと連携して、中国の拡張を抑えることになる。同様に欧州は米軍なしにロシアの膨張を抑える。そして、米軍のシリア撤退が決まり中東地域は米軍撤退の後、ロシアの覇権が確立する。全体的には日欧は連携して、中ロ膨張をけん制するしかない。

それとともに、日本は、軍事衝突が起きないようにロシアと中国ともに友好関係を築くことになる。要するに、米国なしの世界軍事バランスを構築し、言い換えると世界秩序を再構成することになり、これで昔も今も国家全体主義国が世界的な隆盛になる。

嫌な方向に世界は向かっている。第2次大戦前夜に似てきている。ドイツのヒットラーが独裁政権を樹立したことと、中国の習近平国家主席が独裁制を確立したことはよく似ている。そして、国家全体主義が世界的に流行る現象も同じになる。

米国との貿易で黒字になる日本や中国に、米国債を買わせる今までのグローバルでリベラルな世界秩序は終了して、ブロック経済の時代になることを意味する。その準備を日本もするべきであったが、現時点は金融量的緩和政策一本やりであり、その準備ができていない。

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