2. 米国経済の方向
米国の長期金利が安定してきた。このため、適温相場が保持されて、米株価も安定してきた。2月にステルスQE(Quantitative Easing、量的緩和)をFRBは行い、金融機関から不動産証券を110億ドル買い、金融機関は10年国債を買い、10年国債の金利が下げた。
しかし、反対に3月にはFRBは短期金利を上げて、1.75%にした。長期金利は2.8%前後維持で、短期金利は年3回上げるために、長短金利差はフラット化することになる。このような金融政策は11月まで続くとみて、証券アナリストの多くは11月まで米適温相場が続くとみている。
しかし、3%以上のインフレになると、長期金利を3%以上に上げる必要になり、QEはできないことになる。11月までインフレにならないことが重要になっている。
トランプ大統領の経済政策は、インフラ投資、減税、関税UPなどのインフレ促進政策であり、FRBは当然、短期金利を上げるしかないし、長期金利に対するQEもできなくなる可能性もある。株価は金利上昇に反比例して下がることになり、インフレと金利の動向は要注意だ。金融相場から業績相場への移行は難しい。
もう1つの動きとして、トランプ大統領は、アマゾンに対して売上税を取ると表明した。デパートやモールなどの倒産、店舗閉鎖が多発して、米国経済を脆弱化させているので、それを防止するという。その上に、アマゾンに対して独占禁止法の適用も行う可能性がある。拡大する分野の規制もされる可能性もある。
米国がアマゾンに対して行うと、世界的にアマゾンが売上税徴収や独占禁止法の対象になる。このため、FANG株の一角、アマゾン株が暴落してきた。
同じく、Facebookが個人情報を英国の調査会社に渡し、その会社が大統領選挙でトランプ支持のために個人情報の悪用をしたことで、株価が大きく下げている。
もう1つがウーバー自動運転車が死亡事故を起こしたことで、自動運転技術に対する疑念が起きて、自動運転で死亡事故を起こしたテスラ、自動運転の頭脳を提供するエヌビデアなどの株価も下落している。もう1つ、テスラは、モデル3の生産が3月末までに軌道に乗らないと倒産の可能性が出るとWSJは言い始めた。テスラの株価は、GMより株価が下になり、フォードの株価の位置まで下げている。
というようにFANG株の下落が起こり始めている。
3. 日本の政治・経済
米国株に連動して、日本株も当分安定するが、日米交渉で量的緩和の制限がされると、株式市場への日銀介入ができなくなる可能性もある。この時には、日本株は暴落することになる。
そして、アベノミクス相場の終焉を迎える。4月の日米首脳会談は、日本の政治経済の今後を占う試金石になりそうである。
株価の下落が起きると、高い支持率があった安倍首相も、支持率が森友問題で下がっているが、より下降し、11月の自民党総裁選挙での安倍首相3選もなくなり、憲法改正もできない。
日本に金融緩和政策一本やりで、規制緩和や成長戦略を行わなかった咎がやってくることになる。
さあ、どうなりますか?