教室で突然みんなが無視…「いじめ調査」で感じた教育現場の限界

 

報告と事件

この件は、とりあえずの報告書兼意見書を保護者と学校長に同時提出して終了としたが、問題はその後におきた

報告書兼意見書においては、調査との兼ね合いを考慮して報告書運用ができない学校さんが多いので、情報源や一次資料となる個人の特定はマスクをかけた状態となる。多くは学校も把握しているべき情報が記載され、その状態でどのような証言があったかが記載され、このケースにおいてはA子さんについての回復の経緯が記載されることになる。

また、意見書部分では、再発防止策や各フォロー(被害者フォローや加害者のフォローと指導について)、学校独自のいじめについての定期的なアンケート調査の推奨とその設問構成や設問を作る際の根拠や配慮が記載されることになる。

当然にB子は、クラス内で始めた無視遊びが他のクラスメイトが参加しないことから、イライラが募っていたし、反省の要素は皆無であった。

だからこそ、指導は当然必要だが、教員らの配慮とフォローも必要であることは、強く私は要請した。だが、学級担任は自分に打ち明けなかったことに苛立っていたのか、一方的な指導に徹した。その結果、クラスメイトに脅迫的なLINEがB子から送られることになった

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そもそも、学校長には「いじめ対応はクラス担任のみが行うものではなく、学校全体として取り組むべき事案であり、教育上の指導経験が豊富な学校長や副校長主幹教諭がチームを形成して取り組むことが望ましい」と意見している。

ところが、教員社会では、クラス運営の責任は学級担任にあり、問題解決やクラス内での指導方法は全て担任に委ねられていて、他の担任などは互いに干渉ないという意識が根付いているから、この教員社会の限界を超えられなかったのだろう。学級担任は、クラスを抑えられなかったことで校長から相当に説教をされたようでそのストレスの矛先がB子個人に向いたのだった。

後始末

B子については、両親が離婚協議中であり、中学受験が済んだら離婚をする予定であることがわかっている。父親はすでに別の場所で暮らしており、専業主婦のB子の母親は就職先をこれから探し、住宅ローンは引き継げないから住まいは変えなければならないなど、家庭不和がその背景にあった。だから、いじめをしていいわけはないが、このまま行けば、B子は被害者になっていく可能性が強い

これも本来、学級担任を含め学校が行っていくことだが、それを行う力量はないと判断せざるを得ないので、私が後始末をすることにした

A子さんには、これまでのコミュニケーションでB子を許すことは難しいが、一応に受け入れることはできると言ってもらっていたので、まずは、B子とその母親に事情を説明することにした。B子はA子さんに謝罪をしてそれをA子さんが受け入れたことを表明してもらった。

次にB子が脅迫めいたLINEを送った相手C子にもA子さんらにも立ち会ってもらい、謝罪をした。私の目の前では、私のイメージからすると少女漫画の何かの落とし所のような融和ムードで、謝罪リレーは終了した。

小学6年生は受験の関係上、前期に修学旅行をする学校が多い。この学校では、5月末に修学旅行が計画されているとのことで、せっかくの修学旅行をよりよくしてもらえたらと思う。お土産を買ってきてくれるそうだが、今回関わってくれたみんなが笑顔で楽しそうにしている写真でもくれたら、それで良い。

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