【書評】少子化に高齢化。日本の人口減を食い止める過激な提言

 

1.と2.は出会いの場をもっと増やすということ。3.は10代のうちから妊娠や出産に関する知識を学び晩婚晩産を防ぐということ。育児が一段落する前に年老いた両親が要介護状態になり、育児と介護を同時に行うダブルケア」におかれている夫婦が増えている。その大きな要因が晩婚、晩産なのである。

9.は雇用保険の育児休業給付を大幅に見直すことで創設し、休業前の給与手取額相当の水準で給付する。若い世代や非正規などの低所得者に対しては、年間200万円超の給付額を保障する。この制度の充実で産休を取得する人が増えれば、待機児童の解消にも弾みがつく。これと組み合わせる形で、3歳から全員が入学できる学校制度をつくる。これが幼児教育無償化の受け皿となる。

10.年金や医療・介護といった高齢者向けサービスに比重が置かれ、少子化対策に十分な予算がつかない。高齢者は増え続け「シルバー民主主義」がのさばり、若い世代に失望感が漂い投票所から遠ざかれば、ますます高齢者優遇が進む「国難」になる。この流れを断ち切るには、参政権のないゼロ歳児まで投票権を与えるしかない。保護者が将来世代の代理人として投票するのだ。

票が集まるのは、子供にまたは子育てにプラスになるような政策を掲げた候補者だ。自ずと、子供に有利な政策が展開される。18歳に引き下げられたところで、少子化で「シルバー民主主義」を打破するには焼け石に水だ。この方式をとれば、「高齢者が有権者の半分近くを占める」という事態も避けられる。

高齢者の顔色を窺ってきた政治家たちも、将来世代に安易に負担を押し付けることができなくなる。人口減少という国難への対応は、目の前の高齢者より、22世紀まで生きて責任を負う世代の「意見」こそ、より取り入れるべきだ。番外の「社会保障費循環制度の導入」がまた鋭い。高齢者からの非難囂々だろう。

国民が生涯に利用する社会保障サービスのうち、税や国債による「国家負担」で賄われてきた額を、死亡時に国に返還する制度の導入だ。国が第1の相続人として、生涯の国庫負担相当額を遺産から優先徴収する。これなら生きている間の社会保障水準は下がらない。減るのは遺族が受け取る遺産だけである。理論的には約13~18兆円もの新規財政捻出が可能だ。「逃げ切り世代」を逃がさない妙案である。ということに大賛成する高齢者なわたしである。

編集長 柴田忠男

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