会社が負けました。「性格的に向かない仕事は本人に相当負担であった」として、労災と認められたのです。
具体的には下記の通りです。
- (自殺した社員の)性格はおとなしく、口数が少なく、自分から積極的に他人に話しかけるタイプではなく、営業としての適性はなかった
- 全く経験の無い職種への配置転換にもかかわらず、年齢や勤続年数で設定された相当過大な目標を与えられていた(未経験者には重すぎる目標である)
- 45歳と決して若くない年齢、今までに全く経験が無い職種、適性の無い性格、などから非常に困難な業務内容であり心理的な負担は相当重いものと言える
いかがでしょうか。
一応、誤解の無いようににお話すると「性格的に向いていない営業をやらされた=労災認定」ということでは決してありません。過大なノルマや配置転換の際のまわりのフォロー不足なども、認定の理由としてあげられています。
ただ、同時に「適性のない性格」というのも認定理由になっているのがこの裁判のポイントです。これは実務上も注意すべきところです。
「適材適所」とはよく言われますがみなさんの会社ではいかがでしょうか。あきらかに向いていない業務では当然にミスも発生しますし、本人のモチベーションも下がります。
また、ミスが発生すれば上司も穏やかでいられなくなりパワハラの原因にもなります(もちろんミスが発生したらパワハラして良いわけではありません、念のため)。
もちろん、常に適材適所を最優先として配置転換をできるわけではないと思いますが、今一度、考えてみてはいかがでしょうか。
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