向いてない営業に飛ばされ自殺。会社を訴えた家族に裁判官は?

 

会社が負けました。「性格的に向かない仕事は本人に相当負担であったとして労災と認められたのです。

具体的には下記の通りです。

  • (自殺した社員の)性格はおとなしく、口数が少なく、自分から積極的に他人に話しかけるタイプではなく、営業としての適性はなかった
  • 全く経験の無い職種への配置転換にもかかわらず、年齢や勤続年数で設定された相当過大な目標を与えられていた(未経験者には重すぎる目標である)
  • 45歳と決して若くない年齢、今までに全く経験が無い職種、適性の無い性格、などから非常に困難な業務内容であり心理的な負担は相当重いものと言える

いかがでしょうか。

一応、誤解の無いようににお話すると「性格的に向いていない営業をやらされた=労災認定」ということでは決してありません。過大なノルマや配置転換の際のまわりのフォロー不足なども、認定の理由としてあげられています。

ただ、同時に「適性のない性格」というのも認定理由になっているのがこの裁判のポイントです。これは実務上も注意すべきところです。

適材適所」とはよく言われますがみなさんの会社ではいかがでしょうか。あきらかに向いていない業務では当然にミスも発生しますし、本人のモチベーションも下がります。

また、ミスが発生すれば上司も穏やかでいられなくなりパワハラの原因にもなります(もちろんミスが発生したらパワハラして良いわけではありません、念のため)。

もちろん、常に適材適所を最優先として配置転換をできるわけではないと思いますが、今一度、考えてみてはいかがでしょうか。

image by: Shutterstock.com

特定社会保険労務士 小林一石この著者の記事一覧

【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理 』

【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

print
いま読まれてます

  • 向いてない営業に飛ばされ自殺。会社を訴えた家族に裁判官は?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け