成功するネットショップの戦略
A社は、最初から楽天などのモールに出店する戦略をとりませんでした。自社のサイトで、地道にお客様のデータを収集していきます。その結果、今やA社のサイトへの登録会員は10万人です。
もちろん、その顧客リストはA社が自由に使えます。このことで、B社との違いが生じているのです。顧客リストを「財産」として考えられたかどうかが、大きな分かれ道になったと言えます。
顧客データについては、ヤフーもアマゾンも同じことです。今は規制が緩いかもしれませんが、重要な顧客情報を自由に使わせるとは思えません。ですから、B社は今からでも遅くはないので、自店で顧客リストを集めていくべきです。
そして、さらにいえば、A社とB社との違いはもう2つあります。その一つは「経営者の思い」です。B社の経営者も、しっかりとした「思い」は持っています。違うのは、その「思い」の社員への伝え方です。
A社の経営者は、その「思い」を頻繁に社員の皆さんに語り続けています。そのことで、全社員が同じ方向を向くことができます。このことができるかどうかで、事業の成長に差が出ます。
そして、もう一つは「周り」を巻き込む力です。「周り」の一つはお客様です。A社はお客様との接触を頻繁に行います。ネットショップでありながら、お客様と触れ合うイベントを次から次へと企画しているのです。A社の根強いファンが生まれます。
そして、もう一つの「周り」は、取引をしているメーカーさんです。A社の会員の何割かの方にアンケートを行い、市場レポート、ユーザーレポートとしてメーカさんに届けます。この情報はメーカーさんにとってはありがたいです。
さらにもう一つの「周り」があります。それは、銀行です。A社の事業計画書はもともと優れものですが、それとは別に毎年決算内容と事業戦略書を作って説明しています。これは、銀行と仲良くなる秘訣です。多くの銀行がA社の経営に巻き込まれていきます。
これのA社の行動は、出来そうでなかなかできることはありません。それでも、B社もA社の方法を参考にしてみればどうかと思います。ネットショップも戦略を変えるときのようです。
■今日のツボ■
- スポーツのネットショップは、曲がり角にさしかかっている。
- 自由に使えない顧客リストには、何の価値もない。
- 経営者の「思い」は、社員に伝え続ける必要がある。
image by: Shutterstock.com