妻の死去時に55歳以下でも、夫が遺族年金を受け取れる場合がある

 

ここであれ? って思った人もいるかもしれませんが、遺族厚生年金はよく300ヶ月で計算してますよね。しかしそれは、厚生年金加入中とかの死亡の場合なので、そうではない国民年金加入中の死亡とかの場合は本来の厚生年金実期間で計算します。

また、厚生年金加入中の死亡などではない場合は、年金記録は300ヶ月以上無いと遺族厚生年金は支給されない。この死亡した妻の場合は、カラ期間と第三号被保険者期間と厚生年金期間で322ヶ月ある。平成29年8月に全体の年金記録が10年以上あれば老齢の年金が貰えるようになったが、遺族年金の場合は25年以上必要というのは変わっていない。

さて、妻死亡時による遺族厚生年金は夫が55歳以上の場合にしか発生せず実際の給付は60歳からですよね。しかしこの夫の場合は、18歳年度末未満の子が居るために国民年金から遺族基礎年金が支給されるため、例外的に60歳に到達していなくても遺族基礎年金だけでなく遺族厚生年金も貰える

だから、この夫には1,340,123円が上の子が18歳年度末に達する時まで支給され(この時夫は59歳とする)、上の子の加算金224,300円が外れて1,115,823円(月額92,985円)となる。そして、下の子が18歳年度末に達すると(この時夫は61歳とします)、遺族基礎年金自体が消滅して遺族厚生年金112,223円(月額9,351円)のみとなる。

なお、この夫の生年月日から見ると、夫自身の老齢の年金の支給は完全に65歳から。例えば、65歳からは老齢厚生年金30万円と老齢基礎年金70万円とすれば、老齢厚生年金額が遺族厚生年金額を上回ってるので遺族厚生年金の支給は無い。

もう一つの遺族厚生年金の計算式である、「遺族厚生年金÷3×2+自分の老齢厚生年金÷2」を遺族厚生年金とする計算もありますが、それでも老齢厚生年金30万円には届かない。

もう一つの遺族厚生年金額

  • 遺族厚生年金112,223円÷3×2+30万円÷2=74,815円+15万円=224,815円(←この金額が遺族厚生年金)<自分の老齢厚生年金30万円

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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