600万円が1億に化けた。精肉店の焼肉イベントが大成功した理由

 

当日

午前10時開始だが、早朝から各地からお客さまがどんどん車でやってくる。駐車場からずんずんと浜辺にやってくる。招待客だけで1,000人。それにたぶん「いっしょにやってきた方」や、自社スタッフ、さらに取引先の協力人員を入れると千数百人になる。会場である七里御浜は人でいっぱいになって熱気にあふれる

社長田中寛があいさつ。「みなさん、元気ですかー。今日は楽しんでくださーい!」。それだけ。じつに簡潔であれこれ言わない男。

さっそく準備してくれていた浜の漁師さんの合図で全員が網を引き揚げる。「そーれ! そーれ! そーれ!」これが地引網のだいご味。これがお祭り! 結構な大漁で、色々な魚がかかっている。それを手際よく分けて、ビニール袋に入れて参加者にプレゼントする。刺身に調理してのふるまいも始まる。

会場では焼肉が焼かれ、参加者には紙皿でどんどん振る舞われる。「お肉おいしー!」と色々なお客さまが言ってくださる。ありがたい。このためにしたんだ。お客様の笑顔が最高の答え

豚汁にひとだかりができている。搾乳部門からは牛乳のふるまいも。牧場からは子牛がやってきて子供たちとのふれあい。それを地方新聞の記者が写真に収める(事前に取材を頼んでおいた)。

参加者は各々が弁当などを広げる。会場では企業紹介のビデオも放映される。「えー、こんなことやってたんや」というお客様の声。浜では家族がいろいろな遊びをしている。どの顔も笑顔。「あー、やってよかったー」と心から思う

午後3時ごろにはお開きとなり、ビッグイベントは幕を閉じた。

狙い

もともと今後の焼肉バーベキューの時代を見越して色々な手を打っていた。そのための販促も波状的に展開していた。そこへ「焼肉ならたなかを決定づけるイベントとして位置づけた。

公称でなく実数の1,000人以上という規模はなかなかのもので、浜が人で埋まったといってもいいくらいの大賑わいだった。その模様は翌日の地方紙6紙にいっせいに写真入りで掲載され、大きな宣伝効果となった。

結果的に新聞報道も大きな効果となり、その年の8月の焼肉最盛期には月商1億突破という、結果的に経費600万かけても十分おつりが来るくらい大成功となった。結局「600万が1億に化けた」ということになりました。

「焼肉ならたなか」という出来上がったイメージは一過性のものではなく、その後の焼肉の売上げに半永久的な効果をもたらすものとなった。

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