かつてほどの栄華を誇ることはなくなったにせよ、損害保険会社のトップクラスともなれば、その年収は1,500万円近く、生涯年収は5億円を超え、上場企業ランキングでもベストテンの常連です。ところでその金はどこから出てくるのでしょうか。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原さんが、示談金を渋る保険会社とその対抗策としての弁護士活用法を紹介しています。
なぜ交通事故の示談金は低いか?
こんにちは。
弁護士の谷原誠です。
今回は、法律の話。
交通事故の被害に遭うと、加害者側の任意保険会社が出てきて、損害賠償金について示談交渉をします。保険会社から被害者に対して示談金が提示されます。
実は、保険会社から提示される示談金は、正当な金額ではなく、被害者が正当に受け取れる金額よりも低い金額が提示されることが多い、ということをご存じでしょうか? そして、それには理由がある、ということをご存じでしょうか?
また、弁護士が入ると示談金が増額されやすくなるのですが、それにも理由がある、ということをご存じでしょうか? このメルマガは簡易版ですが、詳しく知りたい方はこちら。
● 交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由|交通事故弁護士SOS
なぜ、このようなことになるのか?
その秘密は、交通事故における3つの基準にあります。
3つの基準というのは、
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 裁判基準
の3つです。
自賠責基準というのは、強制保険である自賠責保険から支払われるお金の基準のことです。
任意保険基準というのは、各任意保険会社が、「今回、これが限界です」という基準のことです。事案によって異なります。
裁判基準というのは、これまでの裁判の積み重ねによって決まってきた、裁判をすると、だいたいこのくらいの金額になる、という基準のことです。
金額の大きさは、大きい方から、
● 裁判基準>任意保険基準>自賠責基準
という順になります。つまり、任意保険会社は、適正な基準である裁判基準と、法律で当然に支払われる自賠責基準の間の金額を提示してくる、とういことです。
裁判をすると、本来受け取れる裁判基準による金額を受け取ることができます。ちなみに、慰謝料の基準については、こちら。
しかし、保険会社は、適正な金額を提示してこないことが多いです。なぜ、保険会社、正当な金額を払ってくれないのでしょうか?
もちろん、たまには正当な金額が提示されることがありますが、私たちが相談を受ける多くは、低い金額が提示されています。そこで、弁護士が交渉したり、裁判をしたり、ということになるわけです。