ただし、今後も少子高齢化が進む中でその収入の上限の中で給付をしなければいけませんよね。だから、今後の年金給付の増加を抑えるために先ほどのマクロ経済スライドというのが導入されたわけです。
● マクロ経済スライド(厚生労働省)
マクロ経済というのはザックリ言うと、日本経済全体や世界経済全体がどのように動くのか? というのがマクロ経済。反対にミクロ経済というのがありますが、これは個人や企業がどのような経済活動をするのか? というのを分析するもの。
少子化や高齢化が進むと日本経済全体に影響を及ぼしますよね。全体だからマクロ経済。年金で言えば、高齢者が増えれば年金の負担増えるし、少子化で現役世代が減ってしまうと保険料収入が減って年金受給者を支える力が減ってしまう。こういうマクロ経済的な負担要因を数値化して、年金額を引き上げたりする物価や賃金の伸びから、そういうマクロ経済的な負担要因を差し引くというのがマクロ経済スライド。
年金額から差し引くというと年金を引き下げる感じがしますが、年金額そのものは引き下げない。価値を下げる。年金は物価や賃金の伸びに影響しますが、その伸びからマクロ的な要因を差し引く。ちょっとこの辺の説明は長くなりすぎるので有料メルマガにその辺の説明は任せます^^;
● 年金額改定についての主な内容(今年2月分の有料メルマガバックナンバー購入は下記から)
以前、「年金カット法案だ!」いやいや、「年金額を確保するものだ!」っていう議論が国会でありましたよね。なんとなくカットのように見えるかもしれませんが、長期的に見ると確保。
例えば、もう毎回決まった月100万円のお金を10人に分けられるものとしますよね。となると1人当たり10万円を与える事が出来る。しかし、高齢化が進んで月100万円のお金を20人に分けるとなると、1人当たり5万円になっちゃいますよね。分配される年金が減るわけです。
だから高齢化という年金にとっては負担増の要因を、物価や賃金の伸びから差し引いて年金の増加を抑制するわけです。現在の収入と年金給付が均衡するまで。つまり収入の中で給付が収まるように持っていこうとしているわけです。均衡するまでは年金積立金も取り崩しながら、年金給付に支障が無いようになされる。
マクロ経済スライドを遅らせれば遅らせるほど、将来の年金は水準が低くなってしまう。だから、早く均衡する所まで持っていって将来の年金水準を確保しなければならないわけです。均衡するのは早ければ早いほど良い。
今後も進む少子高齢化の中を耐えるにはしばらくはマクロ経済スライドはなくてはならないものなんですね。しかし今もなお、物価も賃金もそう簡単に上がらないからマクロ経済スライドによる年金額の調整がうまくいっていないのが現状です。
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