前回の記事『中小企業よ、もう残業時間を気にしない経営は終わったのだよ』が好評の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』。今回は、働き方改革関連法の中でも中小企業にとって影響の大きい「年次有給休暇の取得義務」について詳しく解説しています。
御社では、働き方改革関連法への対応、すすんでいますか?
前回の「中小企業よ、もう残業時間を気にしない経営は終わったのだよ」に続き今回も、働き方改革関連法について考えていきます。今回は、前回の「残業時間の上限規制」同様、中小企業にとって影響の大きい法改正についてお話します。
今回の法改正で、年次有給休暇(年休)の確実な取得が使用者に義務付けられました。従業員の年休取得が少ない場合に、会社は従業員の希望をきいた上で、会社が日にちを指定して年休を取らせなければならないというものです。
中小企業の中には、ほとんど年休を取れずに働いている従業員さんも多いと思います。データでみても、大企業に比べると、中小企業での年休取得率は明らかに低くなっています。
「年休の確実な取得」についての手続きとしては、まず会社が従業員に年休取得の希望日を聴取します。その希望を踏まえ、会社は日にちを指定して従業員に休んでもらいます。
この制度の対象となるのは、年休が10日以上付与される従業員に限ります。その付与された年休のうち年5日については、会社が日にちを指定して年休を取らせなければならないのです。ただし、従業員が自ら年休で休んだ日数や「計画的付与」によって取得した年休の日数分は、この5日から減らせます。
ただ、個人的には、この新制度よりも「計画的付与」によって年間5日の年休を付与してしまった方が運用が楽だと思います。年休の計画的付与とは、労使協定で年休を与える時季に関する定めをすることができる制度です。付与の方法も、以下のようなものがあります。
- 事業所全体の休業により一斉に付与
- 班別の交替制付与
- 付与計画表により個人別に付与
年休を付与する時季は、協定で自由に定められるので、会社の繁忙期を避けながら計画的に年休を付与できます。この「年休の計画的付与」制度の方が、使い勝手が良いと思うのですが、皆さんはどうお考えでしょう?
「年休の確実な取得」が使用者に義務付けられるのは、平成31年4月からです。それまでに、どのような形で従業員に年休を取得させるかを考え、準備を進めておきましょう。
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
御社では、働き方改革関連法への対応、すすんでいますか?
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