東大理3の進学先を情報科学科にすれば、経済成長も夢じゃない訳

 

一方で、コンピュータ科学というのは、1970年代までの日本はそれなりに頑張っていたのですが、ある時期に「一部の経営者が俺には分からないからやるな」と言ってみたり「専門的に過ぎるので潰しがきかない」、だから「技術者は給与体系を分けて子会社に分離しよう」などという大馬鹿な判断をして以来日本は世界から遅れっぱなしでした。80年代以降は「コンピュータ技術者はオタクだから危険」などという偏見まで生まれたのですから、付ける薬はないとしか言いようがありません。国家的な自滅の回路に入ったのです。

ですが、日本には数学を含めて今でも国際的に見て教育水準は高い人口が分厚い層として残っています。また若い世代でも着実に育っています。その層を、国の発展のために活躍してもらう、そのためには70年代以来の「過ち」を認めて、改めてコンピュータ科学を職種として花形にして超一流の人材を集め、教育することは大学としても国家としても即効性のある施策だと思います。

優秀な若者さえ集めれば、一流の技術者に育てるのに4年で十分、医学と違ってコンピュータは、その点機動性があります。また優秀な指導者さえいれば、機材や設備への投資は大したことなく学科の整備もできます。

東大がそのぐらいの改革をしないのであれば、東工大と東北大あたりが合同で、スーパーな育成プログラムを作って先行するとか、とにかく待ったなしで国家的プロジェクトとして進めてほしいと思うのです。

一部の政治家が、AIやコンピュータの研究のために国策としてシリコンバレーに施設を作ろうなどと信じられないことを言っていましたが、日本で、日本の若者を集めて思い切りしっかりやれば、絶対に短期間で成果を出すことは可能なのです。

理科三類は理学部情報科学科進学を前提とする、そうした改革によって、とにかく桜蔭学園だとか、灘とかの「地頭(じあたま)の飛び切り良い」人材を、カルテックやMIT、CMUに負けないプログラムで育てれば、経済成長も夢ではないと思いますがどうでしょうか?

image by: K. Nakao / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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