五木 「最近、『君たちはどう生きるか』という本がコミックになってベストセラーになっていますけど、それどころじゃないだろうと(笑)。いま真剣に考えなければならないのは、いかに死ぬかがテーマだろう、というのが率直な気持ちなんです。どんな美しい花もいずれ散っていく。ならばどうすれば精いっぱい散っていけるのかと。
もちろん花には咲くと散るの両方があって、15歳の少年はこれから精いっぱい咲いていかなければならない。けれども私のように80代も後半になりますと、どうしても散っていくことのほうに関心が向いてしまうんです。
松原先生は、15歳の横田少年には「精いっぱい咲きなさい」と説かれたけれども、私がもしいま松原先生にお目にかかったら、「花は散っていく。あなたも精いっぱい散りなさい」っておっしゃったかもしれませんね(笑)」
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