というわけで、標準報酬月額が変わって年金振込額が変わる場合を見てみましょう。
1.昭和32年7月27日生まれの女性(今は61歳)
● 何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
現在は90万円(月額75,000円)の老齢厚生年金を60歳支給開始年齢から受給。また、本来は65歳から貰うはずの老齢基礎年金700,000円を60歳7ヶ月の時に年金の繰上げを請求して支給され始めた。53ヶ月早く老齢基礎年金を貰うから、53ヶ月×0.5%=226.5%減額よって70万円×(100-26.5)%=514,500円(月額42,875円)の繰上げ老齢基礎年金が支給されている。
● 年金の繰り上げの事例集(有料メルマガバックナンバー)
なお、現在は給与195,000円(標準報酬月額20万円)で60歳以降も厚生年金に加入しながら継続雇用中。賞与は過去1年に貰ってない。毎月支払ってる厚生年金保険料は20万円×9.15%=18,300円。また、年金を貰いながら厚生年金に加入して働くと、在職老齢年金が適用されるため年金額が停止される場合がある。停止がかかるか算出。
年金停止額→標準報酬月額20万円+直近1年に貰った賞与なし0円+年金月額75,000円<停止調整開始額28万円だから停止は今のところかかってない。
つまり標準報酬月額と過去1年以内に貰った賞与を月額に直した額と、年金月額の合計が28万円以内に収まれば、年金が停止されることは無い。
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※注意
年金月額は老齢厚生年金のみ。繰上げ支給されてる国民年金からの給付の老齢基礎年金は含まない。それと、障害年金や遺族年金のような非課税年金も停止には含まない。
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しかし、この女性の給与(報酬)が4月215,000円、5月222,000円に上がった。たまたま残業が多かった。あと6月は20万円だったが、休みが多すぎて労働日数17日未満(支払基礎日数という)だったので6月は対象外。
つまり215,000円+222,000円=437,000円を2ヶ月で割って平均する。437,000円÷2ヶ月=218,500円となった。標準報酬月額に直すと22万円になる。今年9月から標準報酬月額22万円に引き上げ。そうすると、10月の給与からの厚生年金保険料は22万円×9.15%=20,130円に引き上がる。
また、9月からの標準報酬月額が20万円から22万円に引き上がったから年金停止額にも影響してくる。
・年金停止額→{(標準報酬月額22万円+直近1年の賞与0円+年金月額75,000円)-28万円}÷2=7,500円(毎月の年金停止額)
つまり毎月75,000円の老齢厚生年金だったのが、7,500円停止して67,500円に老齢厚生年金額が下がってしまう。
さて、年金というのは偶数月に前2ヶ月分を支払いますよね。10月15日支払だったら8月、9月分の年金。今まで月75,000円×2ヶ月=15万円の老齢厚生年金支給だったのが、9月分から月年金額67,500円になってしまった。という事は8月分は75,000円で、9月分は67,500円になるので10月15日振込は142,500円に変わってしまうという事ですね。次の年金振り込み月の12月15日になると10月分67,500円と11月分67,500円になるから13,500円になる。
なお、老齢基礎年金514,500円(月額42,875円で2ヶ月分だと85,750円)は停止されないので、そのまま偶数月に85,750円が振り込まれる。10月15日年金振込額は老齢厚生年金142,500円+繰上げ老齢基礎年金85,750円を合わせて228,250円が振り込まれる。
なお、厚生年金加入から外れると停止は完全に無くなり、60歳以降に働いた分の老齢厚生年金が再計算されて増額される。
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