日立の凋落、シャープの復活。国内テレビ販売で明暗を分けたもの

 

鴻海の支援で復活のシャープ

シャープは液晶テレビの製造に必要な液晶パネルなどの部品や組み立てなどの技術を自社で持ち合わせています。そのため、製造した液晶パネルは外販せずに自社で消費することを基本としていました。それにより安定供給ができ、取引費用を低減することができるのです。ただデメリットもあり、自社製造の部品が自社の最終製品へ依存が強まることで自社部品のコスト競争力が次第に失われていく「キャプティブの罠」に陥る危険性が高まってしまいます。

そこで、09年に堺工場を稼働させて液晶パネルの製造能力を高め、パネルの外販もする戦略に舵を切ったのです。これにより販売を拡大することができますが、外販してしまうとパネルがコモディティ化してしまうというリスクが一方で生じてしまいます。また、営業人員を確保したり生産のための設備投資を行わなければならず、そのために莫大な費用がかかってしまうという問題も発生します。そして、パネルの外販ではサムスンなどとの競争が待ち構えており、熾烈な競争を繰り広げなければならなくなります。

そういったリスクを承知の上で戦略転換を図りましたが、それにより競争が激化し、次第にシャープの液晶パネル事業の業績は悪化することになります。液晶パネルで優位性を保つことができなければ、液晶テレビでも競争力を保つことができず、11年3月期以降は液晶テレビの販売が落ち込みました。液晶パネルは14年3月期にスマートフォン向けが拡大し、一時的に売り上げは回復しましたが、その後は特需効果が薄まり落ち込んでいきます。

液晶テレビと液晶パネルの販売が落ち込むと同時に、シャープ自体の業績も悪化します。14年3月期を境に売上高は減少していきました。また、15年3月期と16年3月期はそれぞれ最終赤字に陥っています。このように経営が悪化したため、16年8月に台湾の鴻海ホンハイ精密工業に支援を仰ぐ形で同グループの傘下に入ることになったのです。

鴻海の支援のもと、シャープは経営再建を図り、復活を果たすことになります。18年3月期の売上高は前年比18.4%増の2兆4,272億円最終損益は702億円の黒字(前の期は248億円の赤字)と大幅な増収増益を達成しました。復活の原動力となったのが液晶パネルや薄型テレビなどのアドバンスディスプレイシステム事業で、売上高が3割伸びました。テレビ販売は倍増し1,000万台を超えています。こうして復活を果たしたシャープですが、今後の躍進も期待できそうです。

日本のテレビメーカーをめぐっては、シャープが復活を果たし、ソニーが国内外で存在感を発揮する一方、日立が苦戦し国内では撤退することとなりました。この1年で明暗がくっきり分かれたかたちです。ただ、競争は激しさを増しており、短期間で状況が一変してもおかしくはありません。この3社以外にも、パナソニックや東芝、海外勢などのブランドがしのぎを削っており、情勢は混沌としています。テレビ市場が今後どのように変化していくの、注視していきたいところです。

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【著者】 佐藤昌司 【発行周期】 ほぼ日刊

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