東電によると、福島第一原発を襲った津波は14~15メートルだったという。「長期評価」をもとに試算した「15.7メートル」とほぼ一致する。
福島第一原発は「5.7メートル」の津波を想定して設計されており、「長期評価」を真摯に受け止めれば、危機感を抱くのがふつうである。
責任は東電だけでなく、科学的分析を政治色でぼかした政府にもある。
福島原発の事故後、国会の事故調査委員会は、原発に関する情報や専門性で優位に立つ東電に政府の規制当局が取り込まれ「監視・監督機能が崩壊していた」と指摘した。
電力会社の「虜」になった政府機関が、東電の都合に合わせて「長期評価」の価値を貶め、対策を講じないことを黙認したといえるのではないだろうか。
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