グラサンかけてシャレオツだねー。身の回りの「粋言葉」あれこれ

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肩掛けセーターにサングラスといった業界人のいでたちで、「チャンネー」「ギロッポン」といった奇妙な逆さ言葉を連発し、シュールな笑いを取ってた夙川アトムさん。今回の無料メルマガ『1日1粒!『幸せのタネ』』では著者の須田將昭さんが、「えっ、あの有名サッカーチーム名もあのお菓子も!?」と思ってしまう意外な「逆さ言葉」を紹介しています。

粋言葉、洒落言葉

先日、久しぶりに桂枝雀師匠の「東の旅」という落語を聞きました。これは伊勢参りに行く喜六と清八という二人の道中をネタにしたお話。落語の設定は、どちらかがアホ、物知らずで、どちらかが知恵がある、というパターンですが、このコンビでは喜六が「物知らず」なボケです。

さて、この喜六。「腹が減った」と清八に大声でいうのですが、たしなめられます。そんなことを大声で言うものではない、と。

「大阪には粋言葉、洒落言葉ちゅうのがあんねんから、それ使うて言わんかい。『腹減った』やのぉて、『らはが北山底でも入れよか』てなぐあいに言わんかい」

というのですが、なんのことでしょう?

  • 腹(はら) → らは (ひっくり返す)
  • 北山 → 北の山は陽射しの加減で透けて見える(=空いた)
  • 底でも入れる → お腹の中に何か入れる(=食べる)

という、ストレートに物を言わずに、仲間内で通じる言い方を教えます。これを「粋言葉すいことば)」「洒落言葉」というそうです。

この後「なんでもひっくり返したら粋言葉になんのんか?」と展開するのですが、

  • 目、毛、歯

と言われてひっくり返せず、「2字のものにせえ」というと、

  • 耳、乳、腿

と、これまた同じ音の繰り返しで逆襲します。喜六は間抜けな役どころなのに、こういうところだけは知恵が回ります。

さて、こういう「逆さ言葉」は今でも符丁としてポピュラーなものです。

  • マネージャー → ジャーマネ
  • 素人(しろうと) → トーシロ

などはお聞きになったこともあるのではないでしょうか?「いいネタないの?」という時の「ネタはもともとは」から。これは、「種」と「ネタ」で完全に言葉が二分化して、ネタは立派に独り立ちしています。

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