安田純平さんの帰国で巻き起こった日本の「自己責任論」の幼稚さ

 

国家が期待するジャーナリストの重要な役割

日本も間違いなく先進民主主義国であることは、国民と自衛隊の関係を見るとわかると思います。「自衛隊反対」と罵声を浴びせかけるような人々をも含む日本国民を、自衛隊は戦争、災害、テロなどから守っているのです。基本的人権という基本原理が謳われている憲法前文に照らしても、国民を選別することはありません。パスポートに日本国民の保護を求める旨が記されているのも、同じ考え方です。

それはきれい事だ、という声が聞こえてきそうですが、よく考えて欲しい。

テレビのコメンテーターなどが、ホワイトハウスのシチュエーションルームの様子を映した映像を見て、「テレビを見ながら情報収集している」と馬鹿にしたようなコメントをすることがありますが、これはジャーナリズムと国家の関係を理解していない結果のたわ言なのです。

どんな思想的な立場であれ、ジャーナリストは情報機関などが入り込めない場所に肉迫できるという強みがあるのです。そして、ジャーナリストが取材したものだけでなく、ジャーナリストに対する相手の扱いも含めて、それは重要な情報なのです。だから、世界最大規模のインテリジェンス・コミュニティを持つ米国でも、シチュエーションルームでテレビのニュースをモニターしているのです。

そういうことを考えると、ジャーナリストの取材活動と国家の関係について、違う見方ができるようになるはずです。

日本の自己責任論は、そろそろ大人に脱皮しなければならない時期だと思います。(小川和久)

image by: MAG2 NEWS

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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