知らなきゃ損する、夫の年金受給額を下げた「妻の240ヶ月の壁」

 

なお、もしこの妻の厚生年金期間が239ヶ月で抑えられていたら、配偶者加給年金は妻が65歳になるまで止まらなかった。たった1ヶ月や1日の違いで、ガラッと変わってしまうのも公的年金の特徴です。

最後に65歳時点の妻の年金総額を算出。65歳になると妻も老齢基礎年金が発生する。

  • 国民年金からの老齢基礎年金→779,300円÷480ヶ月×(昭和36年4月1日以降の20歳から60歳までの厚生年金期間241ヶ月+第三号被保険者期間119ヶ月)=584,475円

よって、

  • 老齢厚生年金456,592円+老齢基礎年金584,475円=1,041,067円(月額86,755円)

妻が65歳を迎えた事により、夫の配偶者加給年金は消滅する(それまでは停止の状態だった)。

追記

年金貰い始めてから後悔しても遅いんですが、この妻がもし240ヶ月未満に厚生年金期間を抑えていたら夫の配偶者加給年金から振替えられて加算される「振替加算」が妻が65歳になった時に妻の老齢基礎年金に付いていた。

もし振替加算が付いていたなら、妻の生年月日に応じた額26,916円(平成30年度価額)が加算されていた。振替加算が付いていたならさっきの

  • 1,041,067円+振替加算26,916円=1,067,983円(月額88,998円)

振替加算は厚生年金期間が240ヶ月以上になるような事が無ければ、終身加算される。

加給年金と振替加算(日本年金機構)

あ!もし離婚する時があるなら、その時に配偶者から厚生年金記録を分けてもらう離婚分割する時も気を付けていてくださいね^^;

というわけで、現代は70歳までの雇用も盛んにはなってきましたが、夫婦によっては加給年金と振替加算に影響してしまう事にもなるので時々年金のメンテナンスというか立ち止まって考えてもらえたらなと思います。

image by: Shutterstock.com

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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