桑原塾長からの回答 ~ランニングの競技特性とは~
さて、ご質問のランニングの競技特性ですが、まず1つ目は体重とパフォーマンスが相関関係にあるということでしょう。WHOの肥満度の判定基準ではBMI(体重kg÷身長mの二乗)は18.5~25が普通体重とされ22が理想とされていますが、恐らくトップランナーでBMI22という選手はほとんどいないのではないでしょうか。
つまり、ランナーにとってのBMIはより低い数値となります。ランニングを始めたばかりの頃はまだランナー体型にありませんから、少しでも体重を落としてBMIの数値を下げていくことと連動してタイムもよくなっていきます。
そして、ランニングの競技特性のもう1つは、練習量とタイムが連動しやすいということです。距離を踏めば踏むほどタイムが良くなるということは、多くのランナーが経験していることでもあります。
もちろん、どんな競技においても練習は大切であり、すればするほど上達するのは当たり前ですが、例えば、ゴルフのような場合は、下手なフォームでひたすら練習を重ねても、一向に上達していかないというケースはままあります。
つまり、間違ったフォームをひたすら体に覚え込ませていることになるわけです。ところが、ランニングの場合は、多少我流のぎこちないフォームであっても、距離を踏めば踏むほどタイムは向上していく傾向にあります。
つまり、走れば走るほど速くなるという、至って分かりやすい構図が成り立っているのです。体重を落としつつ走行距離を伸ばす。 このランニングにおける競技特性に鑑みて、まずは少しスリムな体型を目指しながら練習量を増やしていくということが、とりあえずランニングのパフォーマンス向上への効率的な方法といえるでしょう。
ランニングを始めるとカロリー消費量が増えますから、一般的には体重は減っていく傾向にあります。そして、それと連動するかのように、少しずつタイムが向上していきます。明らかに膝や腰への負担感も軽減され、体重減=タイムの向上の構図が間違いないのだと確信するはずです。
しかし、気を付けなくてはいけないのは、その構図は永遠には続かないということです。これもすべての競技に言えることですが、必ず停滞期は訪れます。その停滞期を脱するために色々な工夫や努力をしなくてはなりませんが、ともするとランニングの場合には体重減=タイムの向上という構図に頼り過ぎてしまい、ひたすら減量をしてしまうというケースが多いように感じます。
そして、それはビギナーのみならず、上級者レベルのランナーにおいても陥りがちな落とし穴なのです。確かにランナーは一般人よりもBMIが低めです。それは膝や腰への負担の軽減にもつながりますし、そもそも体重という重りを背負って走るわけですから、体重が軽い方の負担が少ないのは当然です。しかし、これはあくまでもランニングにおける適正体重が一般人よりも低いというだけの話であって、軽ければ軽いほど有利になるわけではありません。(メルマガより一部抜粋)
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