年内中の金正恩委員長の答礼訪問の実現を期待する韓国ですが、事はそう簡単には運んでいないようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年の日本人著者が、金委員長のソウル訪問を期待する韓国大統領府の現在の動き、そして今後の見通しを記しています。
金委員長の答礼訪問、先送りとなるか
韓国ではマスコミを中心に、12月17日が金正日国防委員長の7周忌にあたることや、12月末が北朝鮮内部の決算時期という点を考慮すれば、12月18~20日ごろに金正恩委員長のソウル答礼訪問が実現する可能性が大と見ていた。
この流れならば、大統領府および政府の準備期間などを考慮すると、少なくとも12月9日までに北側から何らかの回答がなければならないというのが大統領府の見立てであった。
しかし、週末が過ぎ、10日になっても北からは何の音沙汰もない状況。こうした状況を鑑みて、金正恩委員長のソウル答礼訪問は今年中には困難なのではないかという空気が主流になっている。早くても来年2019年の頭ごろになる見通しだ。
金委員長の答礼訪問の際、南北首脳会談で文大統領がうまく仲裁の役割を果たし、北と米の間の見解の違いを狭める効果が期待される余地はあるのだが、会談で目に見える進展がない場合は「手ぶら」会談になる恐れがあるという点が北側には負担として作用している模様だ。
ただし韓国大統領府は、いつでも北朝鮮から返答が来る余地があると見て「年内答礼訪問」の可能性を完全には排除していないようだ。
文大統領が帰国の機内での懇談会で「金委員長のソウル答礼訪問自体が世界に送る平和メッセージ」と語っており、文大統領の金委員長のソウル訪問に対する期待値はものすごく高い。
北朝鮮から何らかの答えがあれば、答礼訪問を成功させるための準備は常にスタンバイなのである。
まだ時間的余裕は残ってはいるものの、さて、北から何らかの返答が来るかどうか。あと1日、2日ほどは目が離せない状況だ。
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