嵐で飛んだマンション駐輪場の屋根が車を直撃。誰が弁償するのか

 

また、雨水の侵入によって水濡れが発生した場合、防水層やシーリングの劣化、クラックの存在等、がもともとあったと考えられ、水濡れ損害は保険の対象にはならないといいます。

台風被害で多かったのは、植栽の被害です。強風で植栽が倒れてしまった、折れてしまった等の被害も基本的には、マンション総合保険の対象ですが、どこまでが被害と認定されるかは、保険の内容、保険会社によっても対応が違ったようです。強風が直撃した場合、植栽の被害額は結構大きくなりますので、保険の内容を一度確認しておく必要があると思います。

一方、強風で建物や付属施設の一部が壊れたり飛ばされたりして、駐車場の車に当たって車が傷つく…というような事故も、今年の台風では、数多く発生しました。車の所有者としては、車を傷つけたのは建物や付属施設の一部なんだから、その管理者である管理組合に、損害を賠償して…と、いいたくなるのも分かりますが、台風等自然災害による事故については、管理者に法律上の賠償責任は発生しません

例外として、被害が予見できるにも係わらず、管理組合が予防措置をしていなかった場合は、対象となる可能性もありますが、それを客観的資料で証明するのはなかなか難しいと思われます。

管理組合に賠償責任が発生しないということは、「施設賠償責任保険」の対象にならないということで、車の所有者が自分で修理するしかありません。所有者が、自動車保険に車両保険を付けていたら、その保険から支払われますが、車両保険を付けていない場合は、自己負担で修理することになります。この場合、車の所有者との間でもめることが少なくありません。

同じようなケースとして、地下駐車場機械式駐車場の地下ピットの車が、台風や豪雨によって水没してしまった…というような場合があります。この場合も、個人の車両保険でしか保険対応できません

また、被害の前提が少し違いますが、地震によって電気温水器専有部分が転倒して下の階に漏水が発生したような場合、電気温水器の転倒は、自然災害によるもので、その住戸の管理者に法的賠償責任はないということで、「個人賠償責任保険」の対象になりません。上階からの漏水があった場合に備えた保険であるはずが、自然災害の時は対象にならないのです。

print
いま読まれてます

  • 嵐で飛んだマンション駐輪場の屋根が車を直撃。誰が弁償するのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け